松尾大社|京都|若返りの霊水「亀井」と、浄化のパワースポット「霊亀の滝」を訪れるべし!
京都市嵐山の西南に鎮座する松尾大社。社殿の創建は飛鳥時代末期の701年。式内社の名神大社であり二十二社の上七社に名を連ねる、由緒ある霊験あらたかな神社である。
その神威は、下記の「吉紀」の引用からも歴然である。
平安の京は、百王不易の都なり。東の厳神あり、西に猛霊を仰ぐ。厳神の賀茂大神宮、猛霊は松の尾の霊社これなり。ニ神の鎮護によりて、萬代の平安を期す。然即ち永々に宮を遷するべからず。
松尾山への信仰は、社殿創建のはるか前からといわれている。上古の人々は、松尾山の頂き近くにある磐座に「大山咋神」が降臨すると信じていたからである。
松尾山麓に造営した社殿。ここはまさしく断層上に位置する。渡月橋あたりから長岡京跡まで南北に延びる「樫原断層」である。なぜにこうも、神社と断層が一致するのだろうか。偶然とは思えない。まさにパワースポットなのであろう。
松尾大社について
松尾大社 概要
- 所在地 京都市西京区嵐山宮町3
- 電話番号 075-871-5016
- 主祭神 大山咋神 中津島姫神
- 創建年 701年
- 社格 式内 名神大社 二十二社 官幣大社 別表神社
- ご利益 開発 縁結び 長寿 若返り 家内安全 酒造祖神
- 公式HP http://www.matsunoo.or.jp/
松尾大社 アクセス
MAP
最寄り駅
- 阪急嵐山線「松尾大社」徒歩2分
駐車場
- あり(無料)
一の鳥居をくぐり石畳を走る。二の鳥居(朱色)の手前を左に曲がると駐車場がある。
松尾大社の創建
創祇は、磐座信仰の時代にまで遡るという。松尾山の山麓に点在する磐座を対象物として祭祀が行われていた。
701年、文武天皇の勅命を受けた秦忌寸都理(はたのいみき とり)によって、松尾山麓の巨石前に社殿を造営し磐座から神霊を移し奉った。これを創建とする。
松尾大社の主祭神
現在の祭神は大山咋神と中津島姫神である。
大山咋神
大山咋神は、須佐之男命の御子の大歳神の御子。
亦の名を「山末之大主神」ともいう。近江国の日枝山に座し、また葛野の松尾に座す鳴鏑を用いる神なり。
秦氏が葛野一帯に居住し、農耕を始めるにあたって、地主神として祀ったと思われる。
中津島姫神
中津島姫神は、市杵嶋姫神の別名とされる。
天照大神と須佐之男命の誓約(うけい)によって生まれた三女神の内の一柱。
秦氏が朝鮮半島と貿易をする際の航海安全を祈願するために祀ったと思われる。
酒の神 松尾大社
松尾大社の駐車場から参道方面に進むと右側に酒造道具を展示した資料館がある。松尾大社は酒の神でもあるからだろう。
いつ頃から酒と結びついたのであろうか。
秦氏は、大陸から様々な技術をもたらした。その中に酒造技術がある。
古事記の15代応神天皇記に、
「(秦氏の)須須許理が醸みし御酒に我酔いにけり」
とある。
遅くともこの頃には既に秦氏の酒が高い評価を得ていたことが窺える記述である。
また、21代雄略天皇紀にも「秦酒公」なる人物が登場することからも、極めて古い時代から松尾大社と酒の結びつきがあったと考えられる。
現在、醸造安全を祈願して、「上卯祭」が斎行されている。
松尾大社 参拝記録
四条通りをひたすら西へ走る。西の突き当りいある松尾橋を渡り、踏切を渡ったところに朱色の「大鳥居」が見える。わかりやすい。
この鳥居をくぐった先を道なり的に右に曲がる。すると石畳の参道に入る。このまま進んでいいの?と、少し躊躇するかもしれないが気にしない。
すると、二の鳥居が見える。
二の鳥居
この鳥居の手前を左に曲がると松尾大社の駐車場がある。無料だ。ありがたい。
お酒の資料館
駐車場から参道へ向かう通路に「お酒の資料館」がある。かつて清酒の手造り工程で使用された醸造道具や、古い酒器などが展示されている。
楼門
再び鳥居をくぐると、大きな楼門が。
下賀茂神社や、同じ秦氏の氏神様である伏見稲荷大社とは全く趣きが異なり、地味な装いである。私はこちらの方が好みである。
以前に参拝したときは、楼門に沢山の「杓子」が差し込まれていた。「しゃもじでご飯をすくう=救う」であろうか。
しゃもじと言えば、広島・厳島神社。主祭神は市杵嶋姫命。松尾大社の祭神と同じ。偶然か?
手水舎
こちらの水口は「亀」。松尾大社では亀と鯉が神の使いとのこと。
「松尾皇太神宮紀」によると、
「松尾大神は亀に乗って松尾山に鎮座された。乗ってこられた亀は、嵯峨の亀山となった」
と伝えられている。
境内の至る所に亀が配置されている。何体あるか、数えててみるのも一興か。
撫で亀さん
手水舎の近くにある「撫で亀さん」。他にも「幸運の撫で亀」「幸運の双鯉」などがある。
祓戸社
手水舎で手口を漱いだら本殿に向かいたくなるのが人情だが、ここはグッとこらえて、本殿前の広場の右端の方へ行こう。そこに、「祓戸社」があるからだ。
こちらに参拝してお祓いをしていただいてから本殿に参拝するべきなのであるからして。
招福!樽占い
アトラクションである。
- 社務所に料金を払う。
- 矢は3本。
- 樽を狙って、1本ずつ矢を放つ。
- 樽に命中した本数によって、もらえるお守りのグレードが異なる。
という趣向だ。
社務所の巫女さんが目を光らせているので、ウソは通用しないということは、あらかじめ申し上げておく。
本殿
私の場合、だいたいにおいて、本殿前で強烈な気を感じることができないのである。修行が足りんのか、そういうものなのか。。。
こちらも同じだ。「猛霊」と謳われたとは思えない、落ち着いた「気」である。
ちなみに、本殿から強烈な力を感じたのは、奈良の「矢田坐久志玉比古神社」である。
相性の松
恋愛成就、夫婦和合のご利益があるとされている。
切り株しか残っていないが、
雄株と雌株が並んで生えているものの根が一つになっているように見える様から相生(あいおい)の松と言われる。
高砂神社の松と住吉大社の松が特に有名で、祝言の折に能「高砂」を謡う慣習は、高砂神社の相生の松に由来する。
おお、杓子はここにあった。
境内社
さて、拝殿に向かって左手に、衣手社をはじめとする末社が4つある。
本殿前よりもこちらの方が、まったりとした濃密な気が漂っていると感じた。
衣手社
一番右の衣手社は、羽山戸神を祀る。
羽山戸神は大歳神の御子で、大社の主祭神である大山咋神とは兄弟の関係にある。大気都比売神と婚姻し、竈・家・庭・農地などの神々を生む。
よって、山裾もしくは農耕の地主神のようである。
一挙社
その次の一挙社は、一挙神を祀る。一説には須佐之男命であるとも。
一挙神は、あまり聞いたことがないのだが、困難にあってもこの神に祈れば一挙に解決すると古来より言われている。
金刀比羅社
商売繁盛、交通安全の守護神として、大物主大神を祀っている。
祖霊社
神宮遥拝所
一番左隅に、伊勢の神宮を遥拝する場所が設えてあった。
本殿裏山のパワースポット
さて、祓戸社まで戻ろう。すると、渡り廊下の下をくぐる入り口が見える。
そこをくぐると世界が変わる。ぐっと神域感が出てくるのである。
長寿と蘇生のパワースポット「亀の井」
御手洗川を渡ると、霊泉「亀の井」がある。延命長寿・蘇りの水として信仰されている。アンチエイジングだ。
奈良の大神神社も酒造りの神様であり、摂社の狭井神社には、万病に効くといわれる「ご神水」が湧き出ている。そして狭井神社の神域全体に若返りの気が満ちていたことを思い出すのである。
さて、この霊水は、かつて酒の仕込みに使われたという。酒造りに適した水ということは、鉄やマンガンが少なく、カリウム・マグネシウム・カルシウム・リン・クロールが多い水。すなわち硬水ということであろうか。
一口頂く。うまい。甘い。これは軟水か?これで酒を醸すとなると高度な技術が必要だが。。。おそるべし秦氏。
今でも、京都の酒蔵さんは、酒造りの成功を祈願して、酒造用水に少し混ぜる程度ではあるが使用されているらしい。
三宮社、四大神社
亀の井の後方、滝御前の手前に、2社を祀る社がある。
四大神社(しのおおかみのやしろ)
説明板には、
祭神は春若年神、夏高津日神、秋比売神、冬年神の四柱。四季折々の神々を祀ることで一年中の平安を守護頂ける
と記されている。
四大神といえば、
京都の東側に住み着いた秦氏が創建したと伝わる伏見稲荷大社の本殿にも四之大神が祀られている。伏見稲荷大社は、一柱の神の名なのか、四柱の神々の総称なのかすら不明であるとしている。
伏見稲荷大社の四大神と、松尾大社の四大神が同じかどうかはわかっていないが、同じ秦氏が奉ずる神であるからして、全くの無関係とは考えにくいと感ずる。
三宮社(さんのみやしゃ)
祭神は玉依姫命。山城地方開拓の功労神で農業殖産の守護神と記されている。
この玉依姫命を神武天皇の母とする説もあるが、私は、こちらも伏見稲荷大社に関係があるやもしれないと感ずる。
というのも、
伏見稲荷大社の七神蹟の一つで秦氏の先祖を祀るとされる「長者社神蹟」にある「御劔社」の祭神が加茂玉依姫。秦氏の祖を祀る社に賀茂氏の祖が祀られているのは謎としている。
また、
松尾大社(秦氏)の大山咋神と、下鴨神社(賀茂氏)の玉依姫命との間に生まれたのが上賀茂神社の賀茂別雷神である
ともいわれている。
このように、縁やゆかりからすると、三宮に祀られる玉依姫命は賀茂氏の玉依姫命である可能性が高そうだ。
浄化のパワースポット「霊亀の滝」
さて、いよいよ向かうことにする。回廊をくぐった時から既に感じていた押し寄せる神気。さあ目的の場所へ。霊亀の滝である。
お山の磐座はいざ知らず、境内ではここが一番のパワースポットであろう。
そもそもマイナスイオン満載の「滝」は、パワースポットの条件の一項目として上げられる。しかし、ここはそのような科学的解釈だけでは収まらない何かがある。と感じる。
冷気が漂う。怖さはない。冷涼な気。澄んだ気である。
滝があるから当たり前と言えってしまえばそうなのだが。。。
気持ちいのいい場所。すなわちそこがパワースポットなのだ。
滝の手前に、「罔象女神」(みづはのめかみ)を祀る祠「御滝前」が鎮座する。
罔象女神は、龗神と並ぶ代表的な水の神のである。特に出始めの水、すなわち泉や井戸の神とされる。中国では「罔象」は龍の姿をした水の精といわれている。
こちらでは、万物生成を司る神として祀られている。
滝の高さは、目測で10m程度であろうか。水量は多くはない。よって滝壺がない。よって水しぶきが飛ぶ。
まさしく、お山の神気が噴き出してくるようなパワーを感じるのである。
できるだけ長居をすることをお勧めする。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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