十市御縣坐神社|奈良|御縣六座の一座

2020年5月30日

十市御縣坐神社は、奈良県橿原市十市町にある神社。十市の御縣に坐す神の社という意味で、「とおちのみあがたにますじんじゃ」と読む。そのままだ。

御縣とは何か。それは後述することにしよう。

延喜式神名帳に記載ある式内社で、数ある式内社の中において「大社」に列するという、由緒ある霊験あらたかな神社である。

広告

十市御縣坐神社について

十市御縣坐神社の創建

創建年代は定かではない。

905年に編纂を開始した延喜式に記載あることから、900年まで存在していたことは確実であろう。

859年(天安3年)1月27日に神階が従五位上に昇格されていると文献にあることから、850年までには存在していたと言える。

御縣とは

大化前代に倭国に設置されていた朝廷の直轄地。6地域あったことから、六御縣(むつのみあがた)、倭六県(やまとのむつあがた)ともいう。六県と六座は以下の通り。

  • 曽布県・・・ 添上郡、添下郡・・・添御縣坐神社(奈良市三碓)添御縣坐神社(奈良市歌姫)
  • 山辺県・・・ 山辺郡・・・山辺御縣坐神社(天理市別所町)・山辺御縣坐神社(天理市西井戸堂町)
  • 磯城県 ・・・ 式上郡、式下郡・・・志貴御縣坐神社(桜井市金屋)
  • 十市県(とおち)・・・十市郡・・・十市御縣坐神社(橿原市十市町)
  • 高市県(たけち)・・・ 高市郡・・・高市御縣坐神社(橿原市今井町)
  • 葛城県・・・ 葛上郡、葛下郡・・・葛木御縣神社(葛城市葛木)

大化以前から御縣が存在し、そのシンボルとして祖神が祀られていたとするならば、当社の創建年代は645年以前となるが、これは想像の域を出ない。

十市御縣坐神社の祭神

現在の祭神は「豊受大神」で、「市杵嶋姫命」を配している。社伝によると、元々の祭神は「大目命」とのこと。

豊受大神(とようけのおおかみ)

神宮の外宮、すなわち豊受皇大神宮の正宮に祀られる大神。

伊邪那美命から生まれた和久産巣日神の子として古事記に登場する。「うけ」とか「うか」は食物を指す言葉であることから食物を司る神とされる。

なので、保食神(うけもち)などと同様に、稲荷神(宇迦之御魂神)(うかのみたま)と習合したが、それはちょっと違うのではないか?と思う。

十市御縣は朝廷に甘菜辛菜を献上する役割を持っていたため、食物の神「豊受大神」を祀るというのは筋が通る。

市杵嶋姫命

須佐之男命と天照大神の誓約で生まれた女神。宗像三女神の一柱で、宗像神社や厳島神社の祭神として有名。

元々は航海安全の神だったが、後世に仏教の弁財天と習合したため、財福の神、芸能の神、美容の神として信仰を集めるようにもなった。

大目

「大目」は磯城県主で、初代磯城県主である弟磯城の4代孫。

そして、十市県主は「大目」から枝分かれした氏族とされる。ということから、「大目」は十市県主の祖ということになる。

十市御縣坐神社のご利益

豊受大神のご神徳により、五穀豊穣・衣食住満足・商売繁盛のご利益が頂けるであろう。

市杵嶋姫命のご神徳により、財運向上・芸能上達・美麗満足のご利益がいただけそうだ。

スポンサーリンク

十市御縣坐神社 参拝記録

十市町は橿原市の北東の隅に位置する農村で、寺川の北岸に密集する集落の東端に東西に、細長い境内を持つ十市御縣坐神社が鎮座する。

駐車場

駐車場は無い。境内沿いに流れる用水路沿いに少しだけ道幅が広いスペースがある。そこに路駐するしかなかろうと思う。

社頭

広い境内ではないが、綺麗に清掃された気持ちの良い境内である。

鏡池

鳥居の手前に鏡池がある。旱魃の際に、この池の水を替えると雨が降ったとの伝承があると聞いた。

桜の花びらが浮いていて、綺麗なような汚いような。。。。

境内

正面の拝殿・本殿。左側奥に境内社が複数社。右奥に境内社が一社。

拝殿

割拝殿。拝殿は絵馬殿にもなっている。

拝殿から本殿を望む

朱色の本殿が見えるが、瑞垣が高くてよく見えない。女神様が祀られているだけあって華やかな印象だ。

拝殿の柵を乗り越えて中に入れば門前まで行けるのだが、遠慮した。

二拝二拍手一拝。コロナウイルス退散を祈念する。

境内社のご案内

五社神社

拝殿の左奥に鎮座するのは「五社神社」。祭神は下記の五柱。

  • 大日霊女貴命(おおひるめむちのみこと)・・・天照大御神のこと
  • 春日大神(かすがのおおかみ)・・・天児屋根命か。経津主命と武甕槌命も祀られるか。
  • 廣幡八幡神(ひろはたはちまんのかみ)・・・応神天皇であろう。
  • 熊野大神(くまののおおかみ)・・・伊邪那美命であろう。
  • 菊理日女命(くくりひめのみこと)・・・菊理媛命のこと。

菊理媛命が祀られているのが、少しく珍しいと感じた。

境内社3社

五社神社の並びに、祠が3社。

手前から、

  • 八幡神社・・・品陀和気命(ほむだわけのみこと)
  • 八坂神社・・・素戔嗚尊(すさのおのみこと)
  • 玉津島神社・・・衣通郎女命(そとおしのいらつめ)

衣通郎女命は、本朝三美人の一人。その美しさ故に悲劇を巻き起こした。和歌三神の一柱としても有名だ。

金刀比羅大権現

並んだ祠の隣に磐座?「金刀比羅大権現」と刻まれている。

四柱神社

本殿の右奥に「四柱神社」。祭神は次の通り。

  • 天之御中主神・・・天地開闢で現れた造化三神の筆頭。(古事記)
  • 高御皇霊神・・・造化三神の一柱。天照大神と並んで高天原を主宰した。
  • 神御皇霊神・・・造化三神の一柱。大国主命を助けるなど国津神に優しい。
  • 天照皇大神・・・天照大御神のこと。

極めて貴い神々が祀られている。

この四柱の中に入ると、さすがの天照大御神も末席だ。

遥拝所

遥拝所があるが、どこを遥拝するのかはわからなかった。

十市御縣坐神社 概要

  • 所在地  奈良県橿原市十市町1
  • 電話番号  0744-23-1857
  • 主祭神  豊受大神
  • 創建年    不詳
  • 社格   式内大社・村社
  • 公式HP   なし

十市御縣坐神社のアクセス

MAP

最寄り駅

  • 近鉄橿原線「新ノ口」徒歩25分

駐車場

  • なし 

一か所だけ路駐可能な雰囲気。(自己責任でお願いします)