別天津神(ことあまつかみ)

日本神話に登場する、天地開闢のときに現れた5柱の神々の総称で、日本神道における、万物創生の根本を為す特別な神々である。

5柱とも、性別のない独神で、現れてはすぐに隠れたとされるものの、、、

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別天津神の構成神

天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)

天と地が分かれ始める際に一番最初に現れた、性別の無い独神。現れてすぐに隠れ、それ以降は神話に登場することは無い。

日本神道には唯一神の考え方は無いが、最初に現れた神であることから「至高の神」と称してよかろう。

ちなみに、天之御中主神は中央アジアから朝鮮半島を経由して渡来した民族が奉じた天の中心にいる創造の神だとする説がある。

それを裏付けるように、伊勢神宮の外宮、小高い丘の上に鎮座する「多賀宮」は、実は「天之御中主神=ヤハウェ」が祀られているとする説もある。

高御産巣日神(たかきむすひのかみ)

天を作り上げる創造の神。こちらも性別の無い独神で、すぐに隠れたとされつつも、古事記にはその後も、葦原中國平定(国譲り)や神武の東征など、皇統を左右するような重要な場面で、あたかも天照大御神の参謀のような位置づけで登場する。

性別の無い独神とされていたのだが、その役回りから男神であるような印象を受けるのと同時に、

記紀編纂の時勢にかぶせた時、持統天皇(天照大御神)と藤原不比等(高御産巣日神)の関係性を表しているようにも見えるが、これは私の主観である。

神御産巣日神(かみむすひのかみ)

地を作り上げる創造の神。こちらも性別の無い独神で、すぐに隠れたとされつつも、古事記にはその後も、死んだ大国主命を生き返らせたり、少彦名命の親として登場したり、地上世界に密接にかかわってくる。

その描かれ方を見るにつけ、なんとなく母性が感じられる神である。

このように、高御産巣日神と神御産巣日神は男女の性別を感じる。

ムスヒ神

元々は、1柱のムスヒ神だったものが、陰陽の思想を反映して2柱に分けられたという説もある。ちなみにムスヒは、ムス=発生する、ヒ=霊。すなわち生成の霊力を持つ神ということになろう。

ここまでの3柱の神を、別天津神の中でもさらに特別に「造化の三神」と称する。

 

宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)

天と地が分かれ始めたとはいえ、地の方は脂の塊がクラゲのように浮かんでいるような状態。

そんな中から、葦の芽のように勢いよく天上へ伸びるように現れた神が、宇摩志阿斯訶備比古遅神。

うまし=優れた、あし=葦、かび=芽、ひこじ=男。

葦原は水田に適した土地である。そのような土地を作り固める象徴であり、葦の芽がグングン伸びる様子から生命力の象徴とも言えよう。

現れてすぐに隠れて以降、神話に一切登場しない。

ちなみに「葦の芽が伸びて神になる。」これは東南アジアの農耕民族によって伝えられた神であるという説がある。

天之常立神(あめのとこたちのかみ)

次に現れたのが天之常立神。宇摩志阿斯訶備比古遅神と同じように、葦の芽のように勢いよく天上へ飛び出すが如く現れた。

宇摩志阿斯訶備比古遅神が地(国土)の形成に係る根本神とするなら、天之常立神は天上を支える根本神と言えるだろう。

ちなみに、先代旧事本紀では天之御中主神と同一神とされている。

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別天津神が登場する神話

天地開闢

遠い遠い、真っ暗な大昔。

この世界の一番始めに、天に現れた神の名は天之御中主神といいました。

続いて現れた神の名は、高御産巣日神(タカミムスビの神)、次に神産巣日神(カムムスビの神)。

この三柱の神は、万物を創生する素となる神で、三柱とも独り神で、すぐに姿を隠しました。

やがて塊のようなものができ始めましたが、まだまだ水に浮かぶ脂のようで、クラゲのようにフワフワと漂っていました。

そんなとき、その脂のようなものの中から、葦が芽吹くように勢いのある物から、神様が現れました。

その神の名は、宇摩志阿斯詞備比古遲神(ウマシアシカビヒコヂの神)、次に天之常立神(アメノトコタチの神)といいます。

この二柱の神も独りで現れ、すぐに姿を隠しました。

以上の五柱の神様は、特別な神ということで別天神(ことあまつかみ)と呼びます。

葦原中国平定

天照大御神が言いました。

「豊葦原の水穂国は、我が御子の正勝吾勝勝速日天忍穂耳命(アメノオシホミミの命)が治めるべき国です。」

そして、息子の天忍穂耳命を天降らせました。

ところが、天忍穂耳命は天浮橋に立って地上を見て、

「豊葦原の水穂国はひどく騒がしいようだ。」

と言いました。

天忍穂耳命は天へ戻って、そのことを天照大御神に申し上げました。

そこで、高御産巣日神天照大御神の詔に従って、天安河(あめのやすのかは)の河原に八百万神を集め、そして自らの息子である思兼神に問いました。

「天照大御神が、葦原中国(あしはらのなかつくに)は御子が治めるべき国であると、仰せである。しかし、その国には荒ぶる国津神が多くいる。さて、どの神を遣わして説得させたらよいと考えるか。答えよ。」

別天津神が祀られる神社(当ブログ内)

水天宮

東京都中央区に鎮座する、天之御中主神を祀る神社。安産の神として信仰を集めている。

サムハラ神社

大阪市西区に鎮座する、造化の三神を祀る神社で、災難除けの指輪守りが大人気の神社。

天津社

奈良県天理市にある石上神宮の摂社。高御産巣日神と神産巣日神を祀る。

石上神宮内、いや、私の知る限りのすべての神社で最もパワーを感じたヤシロである。