加茂神社|岡山|高天原の伝承残る蒜山の山中に鎮座する賀茂の大神。

2019年10月26日

加茂神社は、岡山県真庭市蒜山下町にある神社である。

旭川沿いに東西に長い盆地の東端の山中に北向きに鎮座する。すなわち、社から見ると、旭川と田園地帯越しに蒜山を望むという位置関係だ。

ごらんのとおり、飾りっけの一切ないシンプルで古社然とした佇まいは、神社ファンの心をわしづかみにすること間違いないのである。

また、こちらには「千本杉」というご神木が聳える。その、溢れ出る生命力のオーラも、加茂神社の魅力の一つとなろう。

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加茂神社について

加茂神社の概要

  • 所在地  岡山県真庭市蒜山下見1255
  • 電話番号  0867-66-2085
  • 主祭神  別雷命
  • 創建年    不明
  • 社格   村社
  • 公式HP   なし

加茂神社 アクセス

MAP

駐車場

  • なし (神社前の道路幅が著しく広いため路駐OK)

加茂神社の創建

創建年代は定かではないが、白鳳時代の初期に上賀茂神社から勧請されたというのが一般的なようだ。

加茂神社の祭神

主祭神は、賀茂別雷命。配神に、瓊瓊杵尊、天照大御神、神日本磐余彦命、味鉏高日子根命を祀る。

賀茂別雷命

中世を通して最も格式の高い神社の一つであった上賀茂神社の主祭神である。

八咫烏の正体であるとも言われる賀茂建角身命の娘「玉依姫命」が、川上から流れてきた朱塗りの矢を持ち帰って部屋に置いておいたら、自然に妊娠して生まれた子であるという。

その朱塗りの矢の正体は、つまり父親は、乙訓の火雷神であるとも、山城の貴船神であるとも。私は、川上から流れてきたということから貴船神ではないかと思っている。

瓊瓊杵尊

天照大御神の孫。だから、天孫。「天孫降臨」神話の主人公である。

この瓊瓊杵尊と大山津見神の娘である木花佐久夜日賣命が結婚して三人の御子をもうけ、その血統から初代神武天皇が生まれるのである。

天照大御神

高天原(天)の主催神。日神にして皇祖神。万世一系の日本の皇統は天照大御神から始まる。

現在は、伊勢の内宮に鎮まり、日本国土の守護神であり、日本国民の総氏神様として八百萬の神々の頂点に君臨する大いなる女神だ。

神日本磐余彦命

初代神武天皇のことを指す。天孫瓊瓊杵尊ー彦火火出見尊ー鸕鶿草葺不合尊ー神日本磐余彦命とつながる。

この系譜の過程で、天津神の血統に、海の神の血統を引き継ぎ、山の神の血統を引き継ぎ、パワーアップされて、初代の天皇となる磐余彦命が生まれるのである。

味鉏高日子根命

ここまでは天神だったが、味鉏高日子根命は大国主命の御子であるがゆえに国津神である。国津神であるのだが、古事記には「迦毛大御神」と紹介されている。

古事記に登場する「大御神」という称号を持つ神は、天照大御神と迦毛大御神、そして伊邪那岐大御神のみ。

その他の祭神

とんでもなく沢山の神が祀られている。これは、近隣の神社が廃されるにあたって合祀された結果と聞く。

合祀された神社と祭神は次の通り。

  • 下見の八幡神社・・・品陀別命(ほむたわけ)
  • 美田野の大山祇神社・・・大山津見命(おおやまつみ)
  • 定広の狭田神社・・・佐田比古命(さたひこ)
  • 定広の山祇神社・・・大山祇命(おおやまつみ)
  • 定広の横呂神社・・・大巳貴命(おおなむち)
  • 定広の須崎神社・・・経津主命(ふつぬし)、武甕槌命(たけみかづち)
  • 荒神谷の水戸神社・・・速秋津比古命(あきつひこ)、速秋津比賣命(あきつひめ)
  • 荒神谷の大真木神社・・・句句廼馳命(くくのち)
  • 山城の大山祇神社・・・大山津見命(おおやまつみ)
  • 山城の愛宕神社・・・軻遇突智命(かぐつち)
  • 大下見の坂根神社・・・下照比賣命(したてるひめ)
  • 大下見の稲荷神社・・・倉稲魂命(うかのみたま)
  • 大下見の荒宮神社・・・木花佐久夜日賣命(このはなさくやひめ)
  • 大下見の金山神社・・・金山比古命(かなやまひこ)
  • 大下見の塞座神社・・・来名戸神(くなどのかみ)
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加茂神社 参拝記録

蒜山インターを降りて、蒜山の田園地帯を東西に貫く国道482号線を東へと走る。10kmほど走った頃だろうか、右手の山際に白く輝く鳥居が見えるはずだ。

我々のような人間は、この風景を見て、立ち寄らないという選択肢はないのである。

しかし、どうやったら、あそこへ行けるのだろう。。。グーグルさんの出番である。

少し戻ると、山の下まで行ける道があった。そして山際の細い道を進むと鳥居の前まで行くことができる。鳥居前の道幅は広くなっているの。路駐もラクラク可能だ。

純白の鳥居

近くで見ると、さらに白さが際立つ。平成3年に建て替えたらしい。30年近く経過しているようには見えない。

さあ、ここから長い長い石段を昇るのだろうと思いきや、、、

おや、すぐそこに社が見える。ほっとする我々であった。

石段

苔むした石段は風情がある。が、雨上がりは危険だ。

歩を進めるごとに、山からの冷気が肌に染み込む。そこに一筋の木漏れ日が、ぬくもりを与えてくれる。

実に気持ちのいい石段だ

拝殿

枯れた感じが、さらに神々しさを醸し出している。

近づくと、なんのなんの。まったく枯れてはいなかった。

活き活きとした気が放たれていて、拝殿前に立つと、元気が出てくる

二拝二拍手一拝。

本殿

しっかりと覆屋に収められているようだ。

ここいらは、もうすぐ雪景色になるという。厳しい自然環境の中に立つ古社。貴重である。

千年杉

拝殿の前方右側に、大きな杉が聳え立つ。千年杉と呼ばれる大杉だ。

厳しい自然環境の中においても大きく育った強い生命力を持つ千年杉を見ると、威厳と風格さえ感じるのである。

もう一本、拝殿の左前方には一回り大きな杉が聳えていたが、平成24年の落雷により中身が焼失して空洞化。倒壊する恐れもあり危険だということで、やむなく撤去。

現在は、その切り株のみが残る。

境内社

境内にはいくつかの祠が並んでいる。

拝殿の右に3基。

奥から

  • 荒魂神社・・・素戔嗚尊
  • 若王神社・・・若日孁命
  • 山祇神社・・・大山津見命

と思われる。

拝殿の左に、もう一基。

  • 道明神社・・・狭田比古命

と思われる。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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