梨木神社|京都|幕末・維新を力の限り生きた公卿の神霊が鎮まる神社

2018年6月15日

梨木神社は京都市上京区、京都御苑の東縁に隣接する神社である。

南北に細長い境内には見どころがたくさんある。紅葉の名所・萩の名所・染井の名水・愛の木、、、

そんな女性的な雰囲気を持つ神社であるが、祀られる祭神の一柱は、七清華家の一つ「三條家」の暴れん坊、尊皇攘夷を推進した幕末の公卿である「実美(さねとみ)卿」。

幕末歴史ファンのみならず、実美卿のブレない意思の強さにあやかりたい経営者からの信仰を集める神社である。

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梨木神社の祭神

梨木神社 概要

  • 所在地       京都市上京区 寺町通広小路上ル
  • 電話番号    075-211-0885
  • 主祭神       三條實萬・三條實美
  • 創建年       1885年(明治18年)
  • 社格    別格官幣社
  • 公式HP     http://nashinoki.jp/

梨木神社 アクセス

MAP

アクセス   

  • 京都市バス 京都医大病院下車2分

駐車場       

  • 京都御苑の清和院東駐車場

梨木神社の祭神

梨木神社の祭神

三條實萬・三條實美の父子を祀っている。

三條實萬(さんじょう さねつむ)

幕末に王政復古を志した公卿。三條家は「清華家」の一つで名門である。

「七清華家」は太政大臣・左大臣・右大臣になる資格を有する家格で、摂政・関白になる資格を持つ「五摂関家」に次ぐ家格となる。

三條實萬のエピソードとしては、、、

實萬が「武家伝奏」の役職に就いているときのこと。日米通商条約の勅許をめぐり、勅許推進派の関白「九条尚忠」と激しく対立。関白から参内停止処分を受けた。

それを聞いた孝明天皇が激怒し、関白を勅使として三條邸に差し向け、参内の勅命を与えた

これは、関白が下した処分を天皇が却下し、さらにその却下連絡の役目を関白自身にさせたということ。

当時の価値観としては、衝撃的な出来事であったらしい。我々にはピンとこないが、、、

その後、安政の大獄で謹慎処分となり、その年に死去。

後年、明治天皇から「忠成公」という謚(おくりな)を与えられた

三條實美(さんじょう さねとみ)

三條實萬の三男で、幕末の尊王攘夷激派の公卿

倒幕を掲げた長州藩と密接な関係にあった実美は、八月十八日の政変によって朝廷から追放され、長州へと逃げる。

八月十八日の政変

薩摩藩・会津藩を中心とした公武合体派が、長州藩を主とする尊王攘夷派と急進派公卿を朝廷から一掃した事件。

長州の萩で匿われていたが、幕府軍による長州征伐の際に、福岡藩に預けられ大宰府に幽閉された。

この大宰府で、西郷隆盛・高杉晋作・坂本龍馬などと時勢を語り合う間柄になったという

大政奉還によって王政復古が成った慶応3年。中央に返り咲く。父の遺志を遂げたわけだ。

新政府では議定になり、翌年には副総裁。予の翌年の明治2年には右大臣、明治4年には太政大臣となる。これまでの苦労をねぎらうが如く。。

明治18年に太政官制が廃止され内閣制が導入されたとき、伊藤博文と総理大臣の座を争ったが敗北。内大臣となるが名誉職的色彩が濃く、既に実権は無かったという。

梨木神社の創建

明治18年。久邇宮朝彦親王の令旨よって三條家の邸宅跡(梨の木町)に社殿が造営され、明治維新へと向かう時代の先駆けとして活躍した「三條實萬公」を祀った。

この久邇宮朝彦親王(俗称「中川宮」)も、日米通商条約に反対した一人で、皇族でありながら安政の大獄によって謹慎処分された人。三條實萬とは、いわば同志の間柄なのである。

大正4年の大正天皇即位式に際して、子の三條實美を合祀した。

梨木神社のご利益

梨木神社のご利益は、

  • 学問、文芸の守護神
  • 縁結び

とされるが、私は目標完遂すなわち一願成就のご利益があると考える。

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梨木神社 参拝記録

寺町通りを北上すると京都御苑の東側の入口「清和院御門」あたりに「京都御苑 清和院東駐車場」がある。ここを利用するのが最も近いだろう。

駐車場から出るとすぐ目の前に大鳥居が立っている。

立派な鳥居である。しかし、鳥居をくぐるとすぐに建物にぶち当たり、左に曲がらなければならないようだ。

左に曲がると、、、

梨木通りに出るだけだった。。。

この建物、「イーグルコート京都御苑 梨の木の杜」というマンション。梨木神社が修繕・運営資金調達のため境内にマンションを建設したというわけだ。

世界遺産「下鴨神社」にも同様の主旨でマンションが立つ。

観光都市京都とは言え、社寺仏閣の歴史的建造物を維持管理するのは大変なようだ。

マンションをぐるっと迂回して、二の鳥居前に到着。

鳥居の周囲には「萩」が植えられている。鳥居から本殿までの両側に植えられていて、秋になると可愛い花が咲く乱れるのだろう。

手水舎?いえ、「水みくじ」です

ここに「水みくじ」を浮かべると、文字が浮かび上がってくるというシステム。

さらにこの水は京都三名水の一つ「染井の水」だと書かれてある。

思わす飲みそうになったが、柄杓がないから諦めた。いやいや、焦ってはいけないのである。あとで飲めるから。

ハート型絵馬

社務所に置かれたハート形の絵馬。桂の木の葉の形。縁結び祈願のためのもの。マイネームで名前を書くシステム。

内参道

真っすぐ伸びた内参道。気持ちがいい。

両側には「萩」。加えて「紅葉」。秋から晩秋にかけて訪れるのがよろしかろうと思う

京都三名水「染井」

これが染井。京都三名水の一つ。

柄杓に一杯、軽く飲ませていただこう。まろやかこの上ない。もう一杯。

近隣のおじいさんが水を汲みに来ていた。

蛇口が取り付けられている。細かい注意点が書かれた紙が鳥居型のアクリル板に挟まっている。

こちらからも飲んだ。気持ち味が違う。若干の雑味が入るのは気のせいだろうか。

ご神木「愛の木」

桂の木。二本の幹が寄り添うように生えている。その横からは子供の幹も生えている。

この木を撫でながら、良縁に思いを馳せると良いとのこと。きっといいことがありそうな。

中門

愛の木の前から本殿方向を見るとこんな感じ。

中門の次に拝殿が見え、一番奥に本殿。本殿が一番明るい。ここは雰囲気のいい神社である

本殿

拝殿を通りすぎて本殿前に進む。萩が生い茂っている。そして明るい。

二拝二拍手一拝。鳥のさえずりが心地よい。

ふっと、神様から見たらどう見えるのだろうと思い、本殿から鳥居方向を見てみた。

内参道が明るい。いい神社である。

最後に

全体通して、とにかく明るい、風通しのよい神社であった。

秋の「萩」シーズンに再び訪れたいと思う。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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