押熊八幡神社|奈良|大和国の隅「押熊」の氏神様

2020年4月17日

押熊八幡宮は、奈良市押熊町にある神社。押熊町の氏神様である。

「押熊」とは、なかなかもって珍しい地名である。「熊」という字には「隅」という意味があるらしく、大和国の隅という意味で、まさにここは奈良盆地の北西の隅にあたる。

現在、押熊町のさらに西には高級住宅地「登美ヶ丘」が広がっているので、今の押熊町には「隅」というイメージはない。

しかし登美ヶ丘も実は押熊町だったし、昭和に入って開拓された住宅地で、それまでは森林が広がる丘陵だった。人が棲むエリアという意味では西の端。そして、北へ行けばすぐに山城国。まさに大和国の隅なのだ。

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押熊八幡神社について

押熊八幡神社 概要

  • 所在地  奈良県奈良市押熊町287
  • 電話番号  
  • 主祭神  誉田別命
  • 創建年    1702年
  • 社格   
  • 公式HP   なし

押熊八幡神社のアクセス

MAP

最寄り駅

  • 近鉄奈良線「学園前」→高の原駅行「押熊北口」下車5分
  • 近鉄奈良線「西大寺」→押熊行「南押熊」下車5分

駐車場

  • あり(無料)

押熊八幡神社の祭神

祭神は、誉田別命である。

15代応神天皇のことを指し、八幡大神とも称される。宇佐神宮や石清水八幡宮など全国の八幡宮・八幡神社の主祭神である。。

天照大神が皇祖神とされるのはよく知られているが、八幡大神は第二の皇祖神ともいわれ、石清水八幡宮や宇佐神宮は伊勢に次いで第二の宗廟として、皇室からの崇敬を受けていた。

このようなこともあり、実在する皇祖は応神天皇ではないかという説もあったほどだ。あるいは、今の皇室の祖とも。。。

押熊八幡神社の創建

隣の中山町に龍王神社という大きな境内を持つ神社がある。雨乞いのために水を司る「龍神様」を祀る神社だ。

当社も同様に、雨乞いのために「八大龍王」を祀る神社であったようだ。

ところが1702年(元禄15年:赤穂浪士討ち入りのあった年)に、これまた隣の中山八幡神社のご分霊を勧請したことから、八大龍王が押し出されて八幡神が主祭神となり、八大龍王社は末社となってしまったと伝わる。

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押熊八幡神社 参拝記録

押熊八幡神社に行くには、奈良市の北部を東西に走る「ならやま大通り」から、「グランマルシェ」という酒販店前の交差点から南へ入り(めちゃくちゃ細い道)、道なりに進むといい。

駐車場

本殿域のすぐ横に押熊町郷土資料館の駐車場があるから、そこに停めよう。

一の鳥居

これが一の鳥居。石造りの明神鳥居。

稲荷社

一の鳥居のくぐってすぐ左に朱色の鳥居が並ぶ。その奥に稲荷社があること容易に想像できる。

新防火大明神

手前の稲荷社に祀られるは「新防火大明神」実にストレートな命名ではある。

この神社を勧請たのが明治34年。それ以降、押熊で多発していた火災が不思議と無くなったという。

まさに、新防火大明神である。

松永大明神、秋葉大明神

右奥の覆屋の中には、「松永大明神」の社と「秋葉大明神」の社が並び立つ。

松永大明神はよくわからないが、秋葉大明神は防火の神として祀っていると思われる。

これら三大明神は全て宇迦之魂神(うかのみたまのかみ)なのだろう。稲荷信仰は面白い。

割拝殿

左右非対称の割拝殿。アンシンメトリーである。

日本人には、左右対称ではない違和感の中に、力強さと美しさを感じ取ることができるDNAを持っていると聞いたことがある。

この割拝殿がそれだとは思わないが、、、

二の鳥居

割拝殿を通り抜けると二の鳥居があった。なかなか面白い配置である。

本殿

大きな覆屋の中に、大切に祀られている神殿。

春日大社のそれと同じ形状の釣り灯篭がめぐらされている。小振りな神殿ではあるが、力強さを感じるのは応神天皇のご神威か。

二拝二拍手一拝。新型コロナウイルス退散を祈る。

本殿隣の境内社三社

春日造り風の祠が三基並ぶ

鹿島神社

茨城県の鹿島神宮の主祭神「武甕槌命」を祀る。強い強い軍神である。

木花開耶姫神社

富士山本宮浅間大社の主祭神「木花開耶姫」を祀る。火山を司る神であるからして、こちらも防火のご神力がある。また子宝・安産の神としても信仰を集める。

市杵島神社

宗像大社や厳島神社の祭神「市杵嶋姫命」を祀る。本来は航海安全の神。しかし中世から江戸時代までは、習合した弁財天として祀られることが多かったので、財福の神、芸能の神として祀られることも多い。

八大龍王神社

本殿に向かって右側に八大龍王社への入り口がある。こちらが本来の祭神ということであるからして、心して参らねばならぬ。

小さな祠ではあるが、そこはかとなく感じられる気品。一番高い所から集落を見下ろすが如く。

天竜八部衆に所属する竜族の八体の竜王(竜神)のこと。八体の名称は以下の通り

難陀・跋難陀・娑迦羅・和修吉・徳叉伽・阿那婆達多・摩那斯・優鉢羅

法華経に登場し、仏法を守護するとされているが、日本では雨を司る神として祀られ、祈雨・止雨を祈願してきた。

鳴雷神社(こうずいさん)

境内には「鳴神神社」が鎮座する。「いかづち神社」と読む。地元の人々は、これを「こうずいさん」と親しみを込めて呼んでいる。

元々は東押熊の山林(現:神功5丁目)に水の神として祀られていた。旱魃の時には神殿の前の池にご神体を沈めて雨乞いを行ってきたという。

農耕に深く関わる神である。

水の神「罔象女神」を祀る。

「こうずい」は「独鈷水」(おこうずい)のことと推察する。

「独鈷水」とは

真言密教の開祖「空海」(弘法大師)が、仏具の一種である独鈷を使って湧出させた湧水のこと。「とっこすい」「どっこすい」ともいう。

最後に

押熊八幡神社境内の東、一際高い場所に、香坂王子・忍熊王子旧蹟地がある。

合わせて訪れたい場所である。

ご紹介したいところではあるが、長くなりそうなので別の機会としよう。

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