吉備津神社|岡山|吉備国総鎮守はパワースポットの宝庫

2020年2月11日

桃太郎伝説が息づく吉備津彦神社は、延喜式神名帳に掲載されている式内社。その中でも名神大社に指定される、極めて霊験あらたかな神社である。

吉備国の総鎮守だったが、吉備国が備前・備中・備後の三分割されたあとは備中国の一之宮、近世の社格制度では官幣中社に列していたという、中国地方きっての大社である。

そんな大社である吉備津神社の境内社は、これまた一つ一つに、いにしえのパワーが込められている。

ご紹介申し上げようと思う。

広告

境内社のご紹介

一童社

本殿の左脇の奥、一段高い場所に「一童社」がある。

祭神は、菅原神と天鈿女神。ご利益は、学問と芸術の向上である。

授与所で絵馬を求め、ここに掛けてトンネルをくぐり神前で祈る。シンプルである。

岩山宮

一童社の脇から、さらに山中へと入る道が伸びている。そこを進むと、「吉備津神社随一のパワースポット」という呼び声が高い「岩山宮」に辿り着いた。

祭神は、建日方別神。地主神である。

建日方別神は、古事記の国生みの段に登場する、神であり土地の名でもある。だから吉備の地主神として祀られるのだ。

吉備兒嶋(キビのこじま)をお生みになりました。亦の名を建日方別(タケヒカタワケ)といいます。

出典:わかりやすい古事記 現代語訳

社にはご神体として磐座が納められていると聞く。

吉備津神社参拝の折は、必ずこちらの「岩山宮」にも参拝頂きたい。

回廊から岩山宮へ上がる場合は、この石段を昇る必要がある。本殿エリアから直接行く方が楽であることを付け加えておこう。

回廊

こちらも吉備津神社の見どころとなる「回廊」である。全長400mもあるらしい。

ちなみに、当日はこの回廊を軽トラックが走っていた。一同「えっ!」と顔を見合わせた。

この回廊を降りていくと、その突き当りに吉備津神社の神髄ともいえる社がある。

本宮社

これが、吉備津五所明神の一つ「本宮社」。

吉備津五所神

吉備津五所明神とは吉備津神社を構成する「正宮・本宮・内宮・新宮・岩山宮」の5つの神社の総称である。

これらはかつて境内に点在していたが、明治時代になって内宮と新宮が本宮に合祀された。また、御崎宮も合祀されている。

本宮社の祭神

現在の祭神は、孝霊天皇・吉備武彦命・百田弓矢姫命とされる。

  • 孝霊天皇(吉備津彦の父)は本宮社の祭神
  • 吉備武彦命(吉備津彦の甥)は新宮社の祭神
  • 百田弓矢姫命(吉備津彦の妃)は内宮社の祭神

もともと本宮社には、吉備津彦命の両親である「天倭根子日子賦斗邇命」(孝霊天皇)と「大倭玖邇阿禮比賣命」が祀られ、さらに孝霊天皇の后である「細比売命」も祀られていたらしいが、現在公表されている祭神には、孝霊天皇の名しか残っていない。。。

とはいえ、両親が祀られていた時代から続く「安産と育児の神様」として今も多くの人々が参拝に訪れる。ということで、おっぱい絵馬が飾られていた。

御崎宮の祭神

そして、合祀された御崎宮の祭神も公表されていないが、祭神は犬養健神、温羅神、眞布留神、宇慈香比古神らしい。

犬養健神は、暗殺された犬養毅の三男で、岡山2区選出の代議士にして小説家の犬養健か?いや違う。吉備津彦命の家来として温羅征伐に参加した犬飼部犬飼健命(いぬかいたける)である。桃太郎の家来となった犬のモデルであろう。しかし犬養毅や犬養健は無関係でもない。というのも、犬養毅は犬飼健命の末裔だからだ。

温羅神は、もう言うまでもないだろう。吉備津彦命に征伐された氏族の長。怨霊封じか。

あとの二柱についてはよくわからないが、いずれにしても温羅征伐にかかわりのある神なのかな~と思う。

お釜殿

多くの境内社が回廊の山側に鎮座するのに対して、この「お釜殿」は回廊から池側にある。

このお釜殿の地下に、温羅の遺骨が埋められているという。超音波調査によると、地下2mの所に何かが埋まっているらしい。こわっ。

鳴釜神事の起源

吉備彦命は捕らえた温羅の首をはねて曝しましたが、不思議なことに温羅は大声をあげ唸り響いて止むこと がありませんでした。そこで困った吉備津彦命は家来に命じて犬に喰わせて髑髏にしても唸り声は止まず、ついには吉備津宮のお釜殿の釜の下に埋めてしまいましたが、それ でも唸り声は止むことなく近郊の村々に鳴り響きました。命は困り果てていた時、夢枕に温羅の霊が現れて

『吾が妻、阿曽郷の祝の娘阿曽媛をしてミコトの釜殿の御饌を炊がめよ。もし世の中に事あれば竃の前に参り給はば幸有れば裕に鳴り禍有れば荒らかに 鳴ろう。ミコトは世を捨てて後は霊神と現れ給え。われは一の使者となって四民に賞罰を加えん』

とお告げになりました。命はそのお告げの通りにすると、唸り声も治まり平和が訪れました。

出典:吉備津神社HPより

これが、当社に伝わる鳴釜神事の起源である。

鳴釜神事の概要

鳴釜神事は、本殿の御祭神に祈願したことが叶うか叶わないか、すなわち吉凶を占う神事である。おみくじと同じと言えば同じだが、温羅の霊力が介在していると思うと、、、

  1. ご祈祷の申し込みをすると、鳴釜神事を受けるかどうか確認される。
  2. ご祈祷が終わると、お釜殿へ通される。他の人たちと一緒に。
  3. 神事が始まる。祝詞が奏上され、蒸気が沸き立つ釜の中に玄米が投入される。
  4. ほどなく、ボーっボーっと音が鳴る。
  5. この音を聞いて、吉凶を占う。

この音が綺麗に聞こえたら吉、音が鳴らなかったり音が悪かったりすると凶。

難しいのは、吉凶は自分が判断するしかないという点。神官が吉ですよ~凶ですよ~と教えてくれるわけではないのだ。

というのも、同席している全員が同じように聞こえるわけではないらしい。大きな音が聞こえた人もいれば、聞こえなかった人もいるらしい。不思議でしょ。温羅の霊力の仕業か。。。

しかし、嫁に聞こえて、自分が聞こえなかったら、落ち込むこと間違いなしである。

さて、気になる初穂料はというと、、、

  • 本殿にて各種ご祈祷を受ける場合は、鳴釜神事はサービス。
  • 鳴釜神事のみ受ける場合は、初穂料3,000円也。

宇賀神社

お釜殿から道を挟んで向かい側、池に浮かぶ小島に鎮座するのは「宇賀神社」

祭神は、吉備国最古の稲荷神とのこと。

稲荷神とは抽象的だが、宇賀神社というからには、宇賀弁財天が祀られていたと思われる。現在では神道の神である倉稲魂命、宇迦之御魂神あたりが祀られている可能性もある。

いずれにしても、穀物神であり、現在では商売繁盛の神。物欲的現世利益を得ることができよう。

斜め後ろに「大聖歓喜天」を祀る寺院があった。やはり、この小島は物欲的現世利益を追い求める小島であったか。。。

スポンサーリンク

最後に

時間の余裕がなかったため、えびす宮、三社宮、滝祭宮への参拝が出来なかったのが心残りである。

心残りが無かったとしても、もう一度参拝したい神社の一つであった。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

スポンサーリンク