春日大社①|奈良|世界文化遺産に登録された古都の聖地「春日大社」について

2016年11月5日

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奈良といえば「東大寺の大仏」「鹿」を連想する人が多いのではないだろうか。大仏は奈良時代における仏教のシンボル的存在であるのに対して、「鹿」は奈良時代における神道・祭祀のシンボルと言えよう。「鹿」は「春日大社」の象徴であるからである。

奈良県奈良市、奈良盆地の北東、いわば平城京の「鬼門」に、ひときわ秀麗な姿でそびえる「春日山」。

その神奈備「春日山」の麓に鎮座する「春日大社」は、その後も長く中央権力の頂点に座り続けることになる藤原氏の氏神である。

全国に1000社以上あるといわれる春日神社の総本社で、式内社で名神大社二十二社の上七社にも選定された、古来より「霊験あらたか」とされている大社である。

現在は、世界遺産「古都奈良の文化財」を構成する施設のひとつに指定されていることも付け加えておきたい。

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春日大社 概要

春日大社 概要

  • 所在地  〒630-8212 奈良県奈良市春日野町160
  • 電話番号  0742-22-7788
  • 主祭神  春日神
  • 創建年   768年もしくは710年
  • 社格   名神大社・二十二社・官幣大社・勅祭社・別表神社
  • 公式HP   http://www.kasugataisha.or.jp/

春日大社 アクセス

MAP

最寄り駅

  • 近鉄奈良線「奈良駅」徒歩20分

駐車場

  • あり(有料)

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春日大社の祭神

春日大社の祭神は、以下の4柱の神々である。総称して「春日神」と呼ばれる。

武甕槌命

鹿島神宮の祭神で、藤原氏の守護神である。

古事記の国譲り神話に登場する。
「大国主命」に国譲りを迫り、大国主命の息子である「建御名方命」との力比べで勝利し、信州の諏訪に追い詰めた、力自慢の神である。よって武運を司る。

経津主命

香取神宮の祭神で、藤原氏の守護神である。

古事記の国譲り神話に「武甕槌命」とともに登場する。
経津主命の正体には諸説ある。刀剣の威力を神格化したもの、布都御魂(ふつのみたま)の剣を神格化したもの、あるいは、「武甕槌命」と同一の神である、などと言われているが、
本来は物部氏が祀る神であったものを、藤原氏の「武甕槌命」にその神格を奪われたと見られている。
いずれにしても、刀剣に宿る神という性格を持つので、こちらも武運の神とされる。

天児屋根命

枚岡神社の主祭神で、中臣氏の祖神である。

天岩戸隠れ神話で、祝詞を奏上した神として登場する。また、天孫降臨神話では瓊瓊杵尊に随伴した神々の一柱とされている。さらに「先代旧事本紀」では、饒速日尊が降臨する際に随伴した神々の一柱として登場する。
中臣氏(藤原氏)が、権力の頂点を極めたことから、出世の神とされている。

比売神

天児屋命の妻の「天美津玉照比売命」とされている。

天児屋根命の御子神である「天押雲根命」を強く賢く育てたとして、良妻賢母、女性の鑑として崇敬を集めている。

春日大社の創建

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社伝によると、

768年(神護景雲2年)に、藤原永手が鹿島の武甕槌命、香取の経津主命と、枚岡神社に祀られていた天児屋根命・比売神を併せ、御蓋山の麓の四殿の社殿を造営したのをもって創祀

としているが、

それよりも前の

平城京遷都の710年(和銅3年)、藤原不比等が藤原氏の氏神である鹿島神(武甕槌命)を春日の御蓋山(みかさやま)に遷して祀り、春日神と称したのが起源

とする説もある。

近年、発掘調査によって、768年(神護景雲2年)よりも前から祭祀が行われていた形跡がみつかったことから、

「710年、平城京遷都と同時に不比等が鹿島神と香取神を勧請し春日大社を創建。のちの768年、藤原永手によって枚岡神社から天児屋根命と比売神が勧請された」

とするのが素人的には自然だと思うが、どうであろうか。

春日大社の隆盛

藤原氏の隆盛とともに、春日大社も隆盛していくことになる。隆盛を極めた平安期の輝かしい足跡の一部を記しておく。

  • 平安初期に官祭(公祭)が行われる。
  • 春日祭は、賀茂神社の葵祭、石清水八幡宮の石清水祭とともに三勅祭の一つに指定される。
  • 850年(嘉祥3年)には武甕槌命・経津主命が正一位の神階を授かる。
  • 940年(天慶3年)には、朝廷から天児屋根命が正一位の神階を授かる。

また平安期は、藤原氏の氏寺である興福寺との関係が深くなり、神仏習合が進むにつれ、春日大社と興福寺は一体のものとなっていった時代でもある。これは強大な勢力である。この大勢力を頼みに、強訴を繰り返すことになる。

白河法皇の「賀茂川の水、双六の賽、山法師。これぞ朕が心にままならぬもの」の言葉にあるように、山法師の強訴は、朝廷にとってやっかいなものであった。山法師とは比叡山延暦寺のことを指しているのだが、延暦寺に並んで興福寺も強訴の常連であったらしい。

興福寺の強訴は、春日大社のご神木(榊)を掲げて行われたとのことである。春日大社の神威を笠に着て主張を通そうとするわけだ。

このような強訴に対して、朝廷は武士を雇うことで対応するようになり、武士が台頭するきっかけとなった。

※六国史に記述されている、正一位が与えられた神は下記のとおり。(神代~887年)

・神産日神、高御産日神、玉積産日神、足産日神
・松尾神      (山城国 松尾大社
・今木神      (山城国 平野神社
・賀茂別雷神    (山城国 賀茂別雷神社
・賀茂御祖神    (山城国 賀茂御祖神社
・春日神      (大和国 春日大社)
・大己貴神     (大和国 大名持神社)
・大神大物主神   (大和国 大神神社
・石上神      (大和国 石上神宮
・枚岡天児屋根命  (河内国 枚岡神社
・伊波比主命神   (下総国 香取神宮)
・建御賀豆智命神  (常陸国 鹿島神宮)
・大比叡神     (近江国 日吉大社)

Wikipediaより

春日大社のご利益

春日大社には60社を超える摂末社が鎮座されている。主な摂末社のご利益は「参拝記録」でご紹介するとして、本殿に祀られている四柱の神のご神徳は下記の通りである。

  • 武甕槌命・・・武運・勝負運の守護神
  • 経津主命・・・武運・勝負運の守護神
  • 天児屋根命・・・出世運・美声の神・言葉の神
  • 比売神・・・子育て、女性の守護神

駐車場の注意点

東大寺、若草山、興福寺、猿沢の池、奈良まち、志賀直哉邸など、春日大社の周辺には多くの名所旧跡が存在するため、できるだけ時間を確保して訪れて頂きたい。

春日大社を含む奈良公園近隣には、広い駐車場が多く存在するが、休日ともなると近寄ることもできないほどの渋滞が発生する。当然、満車になるのも時間の問題である。したがって、休日に関しては、できるだけ早い時間からのアプローチが望まれる。8時着ぐらいのイメージだろうか。

私であれば、近鉄奈良駅前あたりの駐車場にとめて、猿沢の池、興福寺を経由して春日大社方面に向かうだろう。もしくは電車での訪問をお勧めする。

では、古都奈良の聖地「春日大社」参拝記録を、3つの記事に分けてご紹介することにしよう!

>>> NEXT 春日大社②

➡  参拝記録・・・「春日大社」② 猿沢池から二の鳥居まで

➡  参拝記録・・・「春日大社」③ 祓戸神社から本殿エリア

➡  参拝記録・・・「春日大社」④ 若宮15社めぐりと水谷神社

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