産湯稲荷神社|鶴橋|比売許曽神社跡地に鎮座する稲荷神。古代からの井戸がある神社。

2018年6月30日

産湯稲荷神社は、大阪市天王寺区小橋にある稲荷神社。

鶴橋駅周辺よりも高台にあるため、上町台地のエッジに鎮座していることが伺える。よって、このあたりには古代から人々が居住してきた場所。だから、古代の伝承が多く残る歴史ロマンあふれるエリアだ。

かつてこの境内は桃山と称されるほどの桃の名所で、北側には「味原池」という大きな池があり、風光明媚な観光スポットだったとのこと。今でもこの一角は緑豊かなオアシスとなっている。

こちらの見どころは、味原地区や小橋地区を開拓した「大小橋命」が産湯に使った井戸とされる「玉の井」。

では、どうぞ。

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産湯稲荷神社について

産湯稲荷神社の創建

創建年代は定かではない。

そもそもこの地には名神大社「比売許曽神社」が鎮座しており、産湯稲荷はその摂社であったとする。

ところが、天正年間、織田信長による石山本願寺攻めの戦火によって、「比売許曽神社」もろとも焼失してしまった。

比売許曽神社だけは、境外にあった摂社「牛頭天王社」の敷地(東小橋:現鎮座地)に遷されたが、産湯稲荷は失われたままだったという。

そして後年、産湯稲荷神社が旧鎮座地に再建された。

産湯稲荷神社の祭神

宇迦之御魂神、下照比売命、大小橋命の三柱を祀る。

宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)

伏見稲荷大社の主祭神で、全国各地の稲荷社の多くは宇迦之御魂神を祀っている。

日本書紀にでは「倉稲魂神」と表記され「うかのみたまのかみ」と読ませている。

宇迦之御魂神も倉稲魂神のいずれも「稲荷神」と称される。

食物・穀物を司る神。

下照比売命

「大国主命」と宗像三女神の一柱「多紀理毘売命」の娘で、「阿遅鉏高日子根神」(あじすきたかひこね)の妹という、素晴らしい血統を持つ女神である。

「天若日子が天下ったとき、妻の天探女(下照比売命)が天磐船に乗って味原池に降臨した。」

という伝承がこの地にあり、ここに下照比売命を祀る比売許曽神社が創建されたというわけだ。

産湯稲荷に合祀されている理由は、この場所が比売許曽神社の鎮座地であったからという由縁だ。

大小橋命(おおおばせのみこと)

このあたりを開拓した中臣氏系の豪族。

高天原のエリート天児屋根命の末裔で、中臣氏(藤原氏)の祖先。神功皇后の近臣「中臣雷大臣」を父にもち、武内宿禰の娘を妻とした。こちらもエリートである。

生野区の御勝山古墳は大小橋命の墳墓であるとされている。

産湯稲荷神社のご利益

本殿でのご利益は衣食住安心

玉之井に祀られる神々のご利益は浄化や厄払いと思われる。

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産湯稲荷神社 参拝記録

鶴橋で焼肉を食べた。誰と食べたか。。。

別れた息子と10年ぶりの再会だった。小学生だった息子が、、、身長180cmを越える大男に成長していた。考え方もしっかりしていて、頼もしく思えた。

1時間ほどの再会だったが、あっという間。緊張もあったが楽しかった。

帰り際、駅の階段を上る彼の背中が、妙に頼りなく悲し気に見えた。泣きそうになった。。。

そういう気持ちになれたことに感謝しよう。

というわけで、感謝の意を表するために、産湯の井戸があるという産湯稲荷神社に参拝することにした。

鎮座地は、近鉄「上本町駅」と「鶴橋駅」のちょうど中間あたりの小橋公園だ。

鳥居

木々が生い茂っている。お世辞にも手入れが行き届いているとは言えない。

前述した桃山と称されたことの証。そして「比売許曽神社御旅所」の石柱。

玉之井

境内の右側。一段低い場所に覆屋があり、そこに井戸がある。井戸の撮影を忘れてしまった。

フタが閉められポンプが設置されているので風情は無い。

この井戸は、下照比売命の兄で、迦毛大御神(かものおおみかみ)とも言われる賀茂氏の祖神「味耜高彦根命」が降臨して掘り当てた井戸と伝わり、日高清水あるいは日高真名井とも称される。

大小橋命の血統と、ここの湧き水で産湯を使ったことなどの説明がなされている。

井戸の真上に、神棚があった。

玉ノ井の祭神

向かって右から順に、、、

  • 大己貴神・少彦名神・・・医薬・温泉の神として
  • 弥都波能売神・・・水の神
  • 御井神・・・井戸の神
  • 祓戸神・・・祓いの神
  • 味耜高彦根命・・・日高真名井始めの神

いずれも、水や井戸に係る神々である。がゆえに、すべて祓いの神々と考えることが出来る。

不動明王像

玉之井の奥に、不動明王を祀る洞窟?がある。暗く湿った穴に祀られている様は、私にはムリなのである。

産湯稲荷神社

では、一段上がって元の内参道に。まずは手水で心身を清めよう。

なかなか風情のある手水である。岩の間から水がちょろちょろと流れ落ちてくる。

この水はどこから?と思いながら、柄杓の一つを手に取る。

水をすくって、、、おっと。柄杓の中にナメクジが。。。

こちらで手水を使う場合は、ご注意いただきたいのである。

本殿

こちらが本殿である。

二拝二拍手一拝。息子との再会を感謝して。。。

ナメクジショックを引きずっている私。。。

お塚の行列

本殿の左側には、お塚(であろう)の行列が出来上がっている。個人のものなので、私は参拝を遠慮するのである。

お塚
伏見稲荷大社の稲荷山中のいたるところに造営された、個人的な祭祀対象物のこと。その信仰スタイルを「お塚信仰」と呼ぶ。神名や社名なども自由に決定することが出来る。神名を刻んだ石碑だけのものから、祠や社殿を造営したものなど、その個人や法人の経済力に応じて様々な形態がある。

最後に

全体的に暗く湿度が高く、第一印象としてはいい場所とは言えない。境内は、荒れているとは言わないが、決して清掃が行き届いているとも言えない。

これらは、祀られている神々のせいではなく、管理する人のせいだ。そういえば、比売許曽神社でも同じような印象を持った記憶がある。

現在、産湯稲荷神社は比売許曽神社の境外摂社となっているとだけ申し上げておこう。

やはり。。。

私の個人的な感想で申し訳ないが、史蹟としての訪問はありだろうが、パワースポットとして訪れるには、あまりお勧めできない神社の一つであろう。