住吉大社 ⑤ | 大海神社から始まる「海神めぐり」で、再生回帰のパワーを頂こう!

2016年11月10日

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大海神社は、大阪府大阪市住吉区に鎮座する「摂津国の一之宮」住吉大社の境内社の中で、最も格の高い摂社である。

摂社ではあるが、延喜式神名帳に記載ある式内社であり、また、摂社の中で唯一「住吉造の神殿」を持っている。格の高さが窺えるというものだ。

住吉大社の本宮に祀られる「住吉三神」は海を司る神で祓い神。こちらも海を司る神を祀る。

その祓いのご神徳、すなわち浄化パワーをさらに強力なものにするため、境内に祀られる「海の神々」を参拝しようではないか。

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住吉大社 概要

  • 所在地   大阪府大阪市住吉区住吉2丁目9−89
  • 電話番号  06-6672-0753
  • 主祭神  底筒男命・中筒男命・表筒男命・神功皇后
  • 創建年      神功皇后の御代
  • 社格   名神大社・二十二社・一之宮・官幣大社・別表神社
  • 公式HP    http://www.sumiyoshitaisha.net/

住吉大社 アクセス

MAP

最寄り駅

  • 南海本線「住吉大社駅」 徒歩3分
  • 南海高野線「住吉東駅」 徒歩5分
  • 阪堺線 「住吉鳥居前駅」 徒歩すぐ

個人的には、天王寺から大阪唯一のチンチン電車「阪堺線」で行かれることをお勧めする。

駐車場

  • あり(有料)

一般参拝は、境内の南西角に駐車場への入り口がある。
ご祈祷をされる場合は、ご祈祷者専用駐車場へ、すなわち北西角の入り口から入ることになるだろう。

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大海神社について

住吉大社境内の最北に鎮座するのが「大海神社」(たいかいじんじゃ)である。

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現在、大海神社は住吉大社の「摂社」とされているが、もともとは「大海神社」の方が先に鎮座していたという。

というのも、住吉大社の祭主「津守氏」の氏神だからである。

鳥居

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社殿は西向き、すなわち海に向かってに建てられている。

住吉大社とものとは別に鳥居が設けられていので、こちらから参拝すると完全に独立した神社であることがわかる。

さらには、この大海神社が鎮座する場所は住吉大社境内で最も高い場所。

本殿

社殿は、住吉造りである。

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第一から第三本宮ラインから第四本宮が南に開いているのに対して、大海神社は第一本宮から北に開いている。第一本宮と大海神社の位置関係を見ると、並列のように見える。

「北の方が上位」という考え方もある。先ほどの「高所に鎮座している」ことも含めて、第一本宮の上位に大海神社が位置づけられているように思えるのだが、いかがだろうか。

大海神社の祭神

そんな大海神社の現在の祭神は

「豊玉彦命」「豊玉姫命」の父娘

である。

豊玉彦命は「大綿津見大神」と同一神で、伊邪那岐と伊邪那美が産んだ最初の海を支配する大神。

しかし、かつての祭神は異なるようである。

「延喜式神名帳」には

大海神社 二座 元名津守氏人神

と記載されている。

津守氏の始祖を氏神として祀ったということである。となると天火明命の系統となる。

「神名帳考証」では

「大綿津見命」「玉依姫命」の父娘

とする。


大綿津見命=豊玉彦命としてもいいだろう。がしかし、玉依姫命は豊玉姫命の妹であり、豊玉姫命とは別神。

ちなみに玉依姫命は後に神武の母となる人である。

「神祇志料」では「塩土老翁」「豊玉姫命」「彦火々出見尊」としている。
一転して、相談役と夫婦が祀られていたことになる

このように諸説あるが、名の上がった神々が、一通り登場する神話がある。

海幸彦と山幸彦

古事記より要約

「海幸彦」と「山幸彦=彦火々出見尊」は兄弟である。海幸彦は海で魚を釣り山幸彦は山で獲物を捕まえる。ある日、山幸彦が釣りをしたくなって兄の命よりも大切にしている釣り針を借りる。山幸彦はその釣り針を失くしてしまう。兄は激怒。「何が何でも探してこい!」

困った山幸彦が海岸で嘆いていると現れたのが「塩土老翁」である。嘆く訳を聞いた塩土老翁は、竹の船を作って山幸彦を乗せ海の神の宮に行くように助言する。

海の神の宮についた「山幸彦」と海の神の娘「豊玉姫命」はお互い一目惚れ。父神の「大綿津見大神」も祝福し、二人は結婚するのである。

それから、何をしに来たのかも忘れて時が経ち、なんと3年が過ぎた。ここに来た目的を思い出した山幸彦は、悩みの種を「大綿津見大神」に打ち明けると、すべての魚を呼び寄せて「その釣り針」を見つけてくれたのである。

そして、兄を懲らしめるために、「貧乏になる言霊」と「塩満珠」(しおみつたま)と「塩乾珠」(しおふるたま)という2個の珠を授けた。

陸に帰った山幸彦は、呪術と珠の力で海幸彦を懲らしめ続けて、最後は海幸彦を家来にした。

鵜草葺不合命(うがやふきあえず) の誕生

さて、ある日、海の神の宮から豊玉姫命がやって来た。お腹に子ができたのである。豊玉姫命は山幸彦に、海岸に鵜の羽を葺いた産屋を作って欲しいと頼む。

しかし完成する前に産気づいて、葺き上がっていない産屋に飛び込んだ。そして言う。

「絶対に中をのぞかないで!」

のぞかないでと言われたらのぞきたくなるのが世の常。ついつい見てしまう。するとなんと、サメがのたうち回っているではないか!出産を終えた豊玉姫は、約束を破った山幸彦を残して海へ去っていく。

この時生まれた子の名前が、鵜草葺不合命(うがやふきあえず)。

そして、この子の養育係として海の国から派遣されたのが「玉依姫命」。成長した鵜草葺不合命(うがやふきあえず)と結婚し神武を生むことになる神である。

少々長くなってしまったが、大海神社はこの神話に深く関わっていると思われる。ここに津守氏の原点があるということであろう。

いずれにしても「大海神社」は津守氏のための氏神であり、住吉大神とは一線を画すのである。

大海神社のご利益

海を司る神である。海のすべてがこの神の支配下にあるわけなので、海に関するありとあらゆるご利益を頂けるのだが、一般的には「航海安全」「豊漁」であろう。

私は津波を防いで頂きたいと切に願うのである。

玉の井

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先の神話に出てきた「塩満珠」を沈めた井戸と言われている。ほら、また神話の世界だ。

ちなみに、

  • 「塩満珠」(しおみつたま)は、海を満潮にする呪具のこと
  • 「塩乾珠」(しおふるたま)は、海を干潮にする呪具のこと

志賀神社

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住吉大社の摂社という位置づけではあるが、その佇まいを見るにつけ大海神社の摂社に見えてならない。

しかしこちらのご祭神も、凄いのだ!

志賀神社の祭神

祭神は、下記の三神である。合わせては「綿津見三神(わたつみさんしん)」と総称される。大海神社の大綿津見大神とは、別の神である。

  • 底津少童命 (そこつわだつみのみこと)
  • 中津少童命(なかつわだつみのみこと)
  • 表津少童命(うわつわだつみのみこと)

本社は福岡市の志賀海神社。もともとは古代海人族である阿曇氏(安曇氏)が祀る神であったと思われるが、古事記によると、伊邪那岐命が禊祓をした時に生まれた神々としている。このとき同時に住吉三神も生まれている。

志賀神社のご利益

福岡の志賀海神社のHPによると、

綿津見三神(わたつみさんしん)のご利益は、
海上守護、交通安全、再生回帰の神、災厄祓除、病気平癒、健康長寿、家内安全、子供守護である。

 再生回帰の神。素晴らしいご神徳である。全ての生物は海から生まれ、海に帰るということだ。 海の神のご神徳とは、この再生回帰の一言に尽きるような気がしてきた。

船玉神社

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本宮エリアから一旦出て、南側に「船玉神社」が鎮座する。

延喜式神名帳にも記載される式内社で、「船玉神」を祀るとある。航海安全・造船の神である。

船玉神社の祭神

現在のご祭神は、下記の2柱である。

  • 天鳥船命(あめのとりふねのみこと)・・・航空・航海の安全守護
  • 猿田彦神(さるたひこのかみ)・・・道案内の神、正しい道を教えてくれる神

というわけで、昨今では旅行や出張など海外へ渡航する人々の信仰を集めている。

実は、こちらの祭神は「住吉三神の荒魂」であるという説もある。

三韓征伐の際、住吉大神が「我が和魂は王を守り、荒御魂が先鋒を担う」と言われたとされているのだ。そして、かつて船玉神社は第四本宮の正面に鎮座していたのである。摂津名所絵図にも第四本宮前に描かれている。

まさに先鋒である。

以上、住吉大社の摂社である「海の神」についてご紹介させていただいた。

最後に

シリーズでご紹介した住吉大社。まだまだ多くの境内社があり、また境外社もある。

そして、大阪湾沿岸には住吉大社と関係の深い神社が多数存在する。

そのすめてを網羅するには10年は必要だろう。少しずつ記事にしていきたいと思う。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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