御香宮神社|京都|伏見の霊水「御香水」が湧出る境内。
御香宮神社は、京都市伏見区にある神社。
京阪、近鉄、JRの各駅からも近く、国道24号線沿いという好アクセスもあり、多くの参拝客が訪れる活気ある神社である。
雅や香りが漂う社名は、平安時代の前期、伏見桃山の麓に広がるこの境内から香りのよい水が湧出たことから、清和天皇が名付けたという。
いかにも京都らしい由緒ある、霊験あらたかな神社だ。
御香宮神社について
御香宮神社の概要
- 所在地 〒612-8039 京都府京都市伏見区御香宮門前町174
- 電話番号 075-611-0559
- 主祭神 神功皇后、仲哀天皇、応神天皇、他6柱
- 創建年 862年
- 社格 府社
- 公式HP https://www.gokounomiya.kyoto.jp/
御香宮神社 アクセス
MAP
最寄り駅
- 京阪電鉄本線「伏見桃山」徒歩5分
- 近鉄京都線「伏見御陵前」徒歩4分
- JR奈良線「伏見」徒歩5分
駐車場
- あり。境内にコインパーキングあり。
御香宮神社の創建
創建年代は定かではない。社伝によると、、、
創建当初は「御諸神社」と称したが、862年に境内からいい香りの湧き水が出たため、時の天皇「清和天皇」から「御香宮」の社名を賜った。 |
とされる。
御諸神社のい論社は、こちら「御香宮神社」と「伏見稲荷大社に合祀」の2説がある。
御諸神社は延喜式神名帳に掲載のある式内社。稲荷山を神奈備山(御諸山)とした御諸大神を祀る神社であったと聞く。
その御諸神社が延喜式編纂以前の862年に「御香宮」へと名称変更したとなれば、「御香宮」が式内社であらねばならないと思うのだが、そうではなく、延喜式には「御諸神社」が掲載されている。
とは言え、伏見稲荷大社に合祀されたという根拠も薄い。
いずれにしても、御香宮神社を参拝する我々としては、そんなことはどうでもよい。平安初期に天皇から社名が下された有難い神社であるという認識でよいのだ。
御香宮神社の祭神
「神功皇后を主祭神とし、仲哀天皇・応神天皇ほか6座の神をおまつりする」とある。
神功皇后・仲哀天皇・応神天皇の三柱は、八幡の神様と解釈できよう。
他の6座とは、、、
- 宇倍大明神・龍田大神・豊玉姫命・綿津見神・仁徳天皇・菟道稚郎子・白菊明神
- 宇倍大明神・瀧祭神・河上大明神・高良大明神・仁徳天皇・菟道稚郎子・白菊明神
との資料があるが、いずれも7座。
この共通性はというと、
- 宇部大明神・・・武内宿禰命
- 豊玉姫命・・・佐賀県にある與止日女神社の河上大明神と同一とする説あり
- 綿津見神・・・福岡県にある高良大社の高良玉垂命と同一とする説あり
- 仁徳天皇・・・神功皇后の孫。応神天皇の第2皇子
- 菟道稚郎子・・・神功皇后の孫。応神天皇の第3皇子
- 白菊明神・・・天太玉命
白菊明神は、御香宮から西へ数百メートルのところに鎮座する金札宮の主祭神。おそらく両社には何らかの関係性があるのだろう。
こうしてみると、龍田大神(風の神)と瀧祭神(五十鈴川の水の神)以外は、共通の神様であることがわかる。
一方で、御香宮は福岡の香椎宮の勧請であるという説もある。
香椎宮は、神功皇后・仲哀天皇を祀る勅祭社で、すぐちかくには武内宿禰の長生きの秘訣である霊水「不老水」が湧く。
よく似ているのだ。
そこにもってきて、九州に縁が深そうな祭神が名を連ねるとなると、香椎宮勧請説も無くもないと感じる。
御香宮神社のご利益
日本第一安産守護之大神「神功皇后」のご神徳により、安産のご利益を頂ける。これがメインだろう。
また、伏見の七名水の一つ「石井の御香水」を飲めば、あらゆる病気が平癒するとされ、今もペットボトルで持ち帰る人々が跡を絶たない。
さらには、豊臣秀吉が伏見城築城に際して、城の鬼門を守護してもらうために遷座したということから、方除けのご利益もある。
その鬼門を守っていた頃の鎮座地は、古御香宮としてに今も残っている。深草大亀谷古御香町。
御香宮神社 参拝記録
国道24号線を奈良方面が京都方面へと走る。宇治川を渡ると上り坂。その坂の頂上付近の左側(西側)に駐車場の入り口が見える。
有料駐車場だ。境内に第一~第三駐車場がある。特別な催し物が無ければ入れないことは無いだろう。
駐車したらば、一旦外に出て、表門を見学しよう。
表門
この表門は、水戸藩の祖「徳川頼房公」によって移設された、伏見城の大手門。
御香宮という名には似つかわしくない(と私は思う)重厚な門構えだ。とはいえ重要文化財に指定されている。
門をくぐろうとすると、、、
門の中に鳥居。門の中に⛩。すなわち「開」。福岡の香椎宮を思い出した。
この真っすぐの参道を進むと、左手に天満宮がある。
桃山天満宮
こちらの天満宮、御香宮神社とは関係ないらしい。何故ここに鎮座するのか、、、
別記事としよう。
参道を直進する。
拝殿
大きな大きな割拝殿。
そして見事な彫刻と彩色。
三葉葵、菊、五三桐が輝く。すなわち、徳川、皇室、豊臣の紋を掲げているということになろうか。
拝所
割り拝殿の奥が拝所。
二拝二拍手一拝。
本殿
本殿側面も極彩色の文様が施されている。さすがは、皇室、豊臣、徳川の崇敬を受けた神社だ。
全体を見てみたいのだが、透塀が微妙に邪魔で良く見えないのである。
御香水
拝所の左手。ここで御香水を頂ける。いい香りがしたということで御香水。
むかし、諸国を回ってきた猿曳が息も絶え絶えにここへたどり着いたとき、肩に乗っていた猿がこの水を猿曳に飲ませると、たちまち元気になったという逸話が残っている。
今も霊水として、病気平慰のために、あるいは茶道や書道のためにペットボトルに入れて持ち帰る人が多い。
ちょうど私が参拝していたときは、神職さんがペットボトルに注ぎ込んでいた。
境内社のご案内
では、本殿の周りを時計回りにぐるっと回って、境内社にご挨拶だ。
いずれの社も、祭神名などの情報は一切掲示されていない。
弁天社
市杵嶋姫命を祀るか。池を隔てた向こう岸に鎮座する。金運、芸事にご利益ありと聞く。
松尾社
大山咋神を祀るか。松尾大社からの勧請であろう。
松尾神は酒造りの神様であるからして、酒どころ「伏見」に似つかわしい。
東照宮
関西に東照宮は多くはない。徳川家に縁の深い神社ならではというところだろう。
祭神は、徳川家康公であろう。他の将軍も合祀されているやも知れぬが。
合祀殿1
手前から、金札社、那智社、熊野社、新宮社、天満社、春日社と並ぶ。
金札社の祭神は、本殿にも祀られる「白菊大明神」こと「天太玉命」であろう。
那智、熊野、新宮の各社は、熊野三山からの勧請と見た。よって、熊野夫須美大神、家都美御子大神、熊野速玉大神が祀られているものと察する。
天満社は、菅原道真公とみて間違いないだろう。
春日社は、天児屋根命の一柱か、武甕槌命・経津主命・比売神も合わせ祀るか。
大神宮
大神宮というからには、天照大御神が祀られているのであろう。
豊受大神が合わせ祀られているかどうか。
豊国社
これは間違いなく、豊臣秀吉公であろう。東照宮に比べて小振りなのは仕方のないところか。
合祀殿2
左から、住吉社、八坂社・恵比須社・若宮八幡社と並ぶ。
もう、説明の必要はなかろう。というか、疲れた、、、
御香水の井戸
こちらが昭和57年に復活した「御香水」が湧出る井戸だと思われる。ここから拝殿横まで水を引いているのだろう。
家康の十男で紀州徳川家の祖「徳川頼宣公」、家康の十二男で水戸徳川家の祖「徳川頼房公」、家康の九男で尾張徳川家の祖「徳川義直公」と、なんと御三家の祖に、この水が産湯として使われたという。
出世のご利益もあるやも知れぬ。
最後に
御香宮神社は、伏見地域の守護神、また安産と子育ての神として地域住民の信仰篤く、一方で、天皇を始め、豊臣や徳川などの時の権力者の崇敬も集めるという、まさに伏見の大社と言えよう。
伏見は地下水が豊富な土地。その水は柔らかく優しい軟水。もちろん「御香水」も軟水だ。
この水を使って、古くから酒造りが盛んにおこなわれた。灘の宮水、伏見の伏水と並び称されるほど、日本中に愛された名酒が伏見にはある。次回は、お酒も楽しみたいものだ。
また近くには、桃山城跡、桓武天皇御陵、明治天皇御陵がある。こちらも合わせて訪れたい。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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