千種神社|和歌山|名草戸畔の足が眠る「あしがみさん」で足腰の健康を祈願する。
千種神社は、和歌山県海南市重根の高台に鎮座する神社である。
地元では「あしがみさん」と呼ばれている。というのも、かつてこの地域を支配していた名草一族の首長「名草戸畔」(なぐさのとべ)の足が祀られているという伝承があるからだ。
同じように、宇賀部神社には首が祀られていて「おこべさん」と呼ばれ、杉尾神社には胴体が祀られていて「おはらさん」と呼ばれている。
今回は、その「あしがみさん」のご紹介となる。
千種神社について
千種神社の概要
- 所在地 〒642-0023 和歌山県海南市重根1128−1
- 電話番号 073-487-1954
- 主祭神 草野姫神
- 創建年 不詳
- 社格
- 公式HP
千種神社 アクセス
MAP
最寄り駅
- JRきのくに線「海南駅」から、コミュニティーバス「伏山」徒歩3分
ただし、朝と昼の1日に2本のみ。
駐車場
- あり(無料)
千種神社の祭神
主祭神に「草野姫神」を祀り、熊野速玉神 天照皇大神 八王子神 猿田彦神 須佐之男神 大山須美神 市杵嶋姫神を合わせ祀る。
草野姫神(かやのひめ)
古事記では鹿屋野比売神(やかのひめ)、日本書紀では草祖草姫(くさのおやかやのひめ)として登場する。
伊邪那岐命と伊邪那美命の間に生まれた草の女神である。草の神とするが、屋根を葺く「萱」を神格化した神であろう。
千種神社の創建
起源は神武東征にまで遡る。
和歌山の口承によると、、、
河内の草香江の戦いに敗れた神武東征軍は、和歌山に迂回し紀ノ川河口に上陸し、紀ノ川沿いを進んで五條・吉野から大和入りを目論む。
そこに立ちはだかったのが名草一族。名草軍は、高倉山、クモ池あたりを主戦場として大いに戦い、遂に神武東征軍を退けた。
しかし、この戦により首長「名草戸畔」は不運にも戦死してしまった。
名草の民は、首長の遺体を頭、胴体、足の三つに切り分け、それぞれ、見晴らしのよい高台に埋葬し、五穀豊穣の神として祀ることにした。
一方、神武東征軍は、さらに紀伊半島を回り込んで熊野へと向かわざるを得なかった。
これが口承の概略で、足を祀った場所が千種神社となる。
かつては百草神社、百草明神と称されていたようだが、明治に入り一村一社政策により近隣神社を合祀した際に「千種神社」に改称したという。
千種神社のご利益
「あしがみさん」であるからして、足腰の健康だ。
神前に草鞋を供えて、足腰の健康を祈願する風習が残る。
千種神社 参拝記録
ここはまさに陸の孤島。最寄り駅からは徒歩で1時間。バスがあるものの1日2運行。車でのアプローチをお勧めする。
神社には参拝者用駐車場が完備されている。5台は止められるだろう。ただし、そこへ行くまでの道は狭い。ホンダのステップワゴン(5ナンバー)でギリギリだった。
鳥居
高台だけあって、日当たりがすこぶる良い。振り返ると、こんな景色が広がる。
画像ではわかりにくいが、正面の山の右奥は海。風が心地よい。
ご神木の大楠
境内に入って左手に大きなご神木がある。樹齢は700年を超えるとのこと。
近づけないように、柵が施してある。柵から根元までの距離は15mはあるだろうか。それほどの遠くからでも圧倒される太さだ。
もともと楠の根元にはお地蔵さんが祀られていたらしい。しかし楠の成長に伴って幹に巻き込まれていき、明治の初め頃までは見えていたらしいが、今では見えなくなってしまった。
「行たら見て来ら、重根の宮の、楠に巻かれた地蔵様」という里謡があるらしい。
「行たら見て来ら」という部分、「いたらみてこら」か「いたらみてくら」か。我が母がしゃべる和歌山弁が現れていて嬉しい。
いずれにしても、体内にお地蔵さんを宿した楠。ご利益ありそう。。。
ご神木の檜
本殿横に呼びえる、大きな幹が二股に伸びるご神木はヒノキ。幹の上部が不自然に短いのは、台風の被害か?
拝殿
拝殿は割拝殿の様式。無人の神社とお見受けしたが、綺麗に清掃されている。
本殿
こちらも新しい木材で補修された跡があり、きちんと管理されている様子がうかがえる。
こういう神社は、境内全体の雰囲気も良いものだ。
二拝二拍手一拝。
祭神は草野姫神となっている。名草姫ではない。何故に?
頭の宇賀部神社も、胴体の杉尾神社も、祭神に名草の名の字もない。何故に?
境内社:秋葉社?
本殿の右奥に、小さな社。祭神の説明は無し。
和歌山神社庁のHPによると、境内社は3社で、祇園社・恵美須社・秋葉社とある。
消去法によって、こちらは秋葉社としようと思う。
境内社:恵美須大神
玉垣の外に、恵美須大神を祀る祠がある。恵比寿神のことだろう。いや和歌山らしく漂着神の神霊か。
境内社:祇園社?
こちらの祠にも、祭神の説明はない。ネット情報では「祇園社」と紹介されていた。
よって、こちらも仮として、祇園社としておこう。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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