千種神社|和歌山|名草戸畔の足が眠る「あしがみさん」で足腰の健康を祈願する。

2019年9月28日

千種神社は、和歌山県海南市重根の高台に鎮座する神社である。

地元では「あしがみさん」と呼ばれている。というのも、かつてこの地域を支配していた名草一族の首長「名草戸畔」(なぐさのとべ)の足が祀られているという伝承があるからだ。

同じように、宇賀部神社には首が祀られていて「おこべさん」と呼ばれ、杉尾神社には胴体が祀られていて「おはらさん」と呼ばれている。

今回は、その「あしがみさん」のご紹介となる。

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千種神社について

千種神社の概要

  • 所在地  〒642-0023 和歌山県海南市重根1128−1
  • 電話番号  073-487-1954
  • 主祭神  草野姫神
  • 創建年    不詳
  • 社格   
  • 公式HP   

千種神社 アクセス

MAP

最寄り駅

  • JRきのくに線「海南駅」から、コミュニティーバス「伏山」徒歩3分

ただし、朝と昼の1日に2本のみ。

駐車場

  • あり(無料)

千種神社の祭神

主祭神に「草野姫神」を祀り、熊野速玉神 天照皇大神 八王子神 猿田彦神 須佐之男神 大山須美神 市杵嶋姫神を合わせ祀る。

草野姫神(かやのひめ)

古事記では鹿屋野比売神(やかのひめ)、日本書紀では草祖草姫(くさのおやかやのひめ)として登場する。

伊邪那岐命と伊邪那美命の間に生まれた草の女神である。草の神とするが、屋根を葺く「萱」を神格化した神であろう。

千種神社の創建

起源は神武東征にまで遡る。

和歌山の口承によると、、、

河内の草香江の戦いに敗れた神武東征軍は、和歌山に迂回し紀ノ川河口に上陸し、紀ノ川沿いを進んで五條・吉野から大和入りを目論む。

そこに立ちはだかったのが名草一族。名草軍は、高倉山、クモ池あたりを主戦場として大いに戦い、遂に神武東征軍を退けた。

しかし、この戦により首長「名草戸畔」は不運にも戦死してしまった。

名草の民は、首長の遺体を頭、胴体、足の三つに切り分け、それぞれ、見晴らしのよい高台に埋葬し、五穀豊穣の神として祀ることにした。

一方、神武東征軍は、さらに紀伊半島を回り込んで熊野へと向かわざるを得なかった。

これが口承の概略で、足を祀った場所が千種神社となる。

かつては百草神社、百草明神と称されていたようだが、明治に入り一村一社政策により近隣神社を合祀した際に「千種神社」に改称したという。

千種神社のご利益

「あしがみさん」であるからして、足腰の健康だ。

神前に草鞋を供えて、足腰の健康を祈願する風習が残る。

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千種神社 参拝記録

ここはまさに陸の孤島。最寄り駅からは徒歩で1時間。バスがあるものの1日2運行。車でのアプローチをお勧めする。

神社には参拝者用駐車場が完備されている。5台は止められるだろう。ただし、そこへ行くまでの道は狭い。ホンダのステップワゴン(5ナンバー)でギリギリだった。

鳥居

高台だけあって、日当たりがすこぶる良い。振り返ると、こんな景色が広がる。

画像ではわかりにくいが、正面の山の右奥は海。風が心地よい。

ご神木の大楠

境内に入って左手に大きなご神木がある。樹齢は700年を超えるとのこと。

近づけないように、柵が施してある。柵から根元までの距離は15mはあるだろうか。それほどの遠くからでも圧倒される太さだ。

もともと楠の根元にはお地蔵さんが祀られていたらしい。しかし楠の成長に伴って幹に巻き込まれていき、明治の初め頃までは見えていたらしいが、今では見えなくなってしまった。

「行たら見て来ら、重根の宮の、楠に巻かれた地蔵様」という里謡があるらしい。

「行たら見て来ら」という部分、「いたらみてこら」か「いたらみてくら」か。我が母がしゃべる和歌山弁が現れていて嬉しい。

いずれにしても、体内にお地蔵さんを宿した楠。ご利益ありそう。。。

ご神木の檜

本殿横に呼びえる、大きな幹が二股に伸びるご神木はヒノキ。幹の上部が不自然に短いのは、台風の被害か?

拝殿

拝殿は割拝殿の様式。無人の神社とお見受けしたが、綺麗に清掃されている。

本殿

こちらも新しい木材で補修された跡があり、きちんと管理されている様子がうかがえる。

こういう神社は、境内全体の雰囲気も良いものだ。

二拝二拍手一拝。

祭神は草野姫神となっている。名草姫ではない。何故に?

頭の宇賀部神社も、胴体の杉尾神社も、祭神に名草の名の字もない。何故に?

境内社:秋葉社?

本殿の右奥に、小さな社。祭神の説明は無し。

和歌山神社庁のHPによると、境内社は3社で、祇園社・恵美須社・秋葉社とある。

消去法によって、こちらは秋葉社としようと思う。

境内社:恵美須大神

玉垣の外に、恵美須大神を祀る祠がある。恵比寿神のことだろう。いや和歌山らしく漂着神の神霊か。

境内社:祇園社?

こちらの祠にも、祭神の説明はない。ネット情報では「祇園社」と紹介されていた。

よって、こちらも仮として、祇園社としておこう。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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