天児屋根命(あめのこやね)

天児屋根命は、日本の神話に登場する神である。中臣氏の祖とされ、藤原氏の氏神である春日大社に祀られる。神仏習合時代には、春日大明神や春日権現などとも称された。

天児屋根命の神名

  • 天児屋命(あめのこやね)>>>古事記
  • 天児屋根命(あめのこやね)>>日本書記
  • 春日権現(かすがごんげん)
  • 春日大明神(かすがだいみょうじん)

神名の意味

「コヤネ」は、「小さな屋根」すなわち「小屋」。「天上の小屋」に居る神となるが、面白くない。

「コヤネ」を「言綾根」と書くと、「天上の美しい詞(ことば=祝詞)」の神となる。こちらの方が記紀で描かれる姿に合致する。

天児屋根命の神格

天児屋根命は、天岩戸に隠れた天照大神を呼び戻すために、日取りを占い、祝詞を奏上した神である。

よって、

  • 託宣の神
  • 祝詞の神

となろう。

天児屋根命のご利益

  • 出世開運
  • 合格祈願
  • 国土安泰
  • 家内安全
  • 産業繁栄

天児屋根命の系譜

  • 父 >>> 居々登魂命(こごとむすび)
  • 妻 >>> 天美津玉照比売命(あめのみつたまてるひめ)
  • 子 >>> 天押雲命(あめのおしくも)

後裔から、宮廷祭祀をつかさどる中臣連が出てくる。さらに国家権力の頂点に君臨することになる藤原氏が、、、

 

スポンサーリンク

天児屋根命が登場する神話

 

岩戸隠れ

最も活躍するのは、岩戸隠れ神話である。

弟である須佐之男命の悪行の数々に、とうとう天照大御神は、、、

天照大御神は、天石屋戸を開けて中に籠もってしまいました。

高天原すべてが暗闇となり、葦原中國もすべてが闇となりました。ですから、ずっと夜が続きます。そうすると、様々な神の声が騒々しい蝿のように満ち溢れ、あらゆる災が巻き起こりました。

この事態をなんとかするために、八百萬神が天安之河原に集まりました。そこで、高御産巣日神の子の思金神(オモヒカネの神)に対策を考えさせました。

まずは、常世の長鳴鳥を集めて鳴かせます。

天安河の川上にある天堅石(あめのかたいは)をとってきて、天金山(あめのかなやま)の鉄を取り出し、鍛冶の天津麻羅(アマツマラ)を探してきて、伊斯許理度賣命(イシゴリドメの命)に鏡を作らせました。

そして、玉祖命(タマノオヤの命)に命じて、八尺勾玉(やさかのまがたま)のたくさん連なった玉の緒を作らせました。

また、天兒屋命(アメノコヤネの命)布刀玉命(フトタマの命)を呼び出して、天香山(あめのかぐやま)の雄鹿の肩の骨を抜き、天香山の天之波波迦(あめのははか)の木をとってきて、その雄鹿の肩を天之波波迦で焼いて太占(ふとまに)をさせました。

また、天香山の五百津眞賢木(いほつ まさかき)を根っこから掘ってきて、上の枝には八尺勾玉(やさかのまがたま)のたくさん連なった玉の緒で飾り、中の枝は八尺鏡(やあたのかがみ)で飾り、麻や楮の皮を晒したものなどで飾り付けました。

布刀玉命がこの飾り付けた賢木を捧げ持ち、天兒屋命が厳かな祝詞を唱え天手力男神(アメノタヂカラヲの神)が岩屋戸の脇に隠れて、準備万端です。

このあと、天鈿女命の神楽につづく、、、

天孫降臨

天照大御神の孫「邇邇芸命」が地上へ天下ることとなった。

そこで、天照大御神は邇邇芸命に、天児屋根命布刀玉命天宇受賣命伊斯許理度賣命玉祖命五伴緖として従えさせて天降らせました。

その際に、天照大御神を天岩戸からお出しした時に使われた八尺勾玉(やさかのまがたま)と八咫鏡(やたのかがみ)、それに須佐之男命が献上した草薙の劔(くさなぎのつるぎ)を邇邇芸命に授け、

さらには、思金神(オモヒカネの神)、天手力男神(アメノタヂカラヲの神)、天石門別神(アメノイハチワケの神)の三柱もお供につけて、、、

「邇邇芸よ。お前は、この鏡を我が御魂として拝して、我が身を斎き奉れ。そして、思金神は今までのように、政(まつりごと)を主宰せよ。」とお命じになりました。

天児屋根命が所属する五伴緒とは何だろうか。

政治→思兼神、軍事・建設→天手力男神、警備→天石門別神が配置されているので、五伴緒は、天皇の祭祀に必要な「神官」だと考えるのが自然であろう。

この文章の中には、皇統を繋ぐ「三種の神器」すなわち八尺勾玉・八咫鏡・草薙の劔、そして、天皇は祭祀で国を守り、政治は臣下が行うという、日本的「政教分離体制」が記載されている。

スポンサーリンク

天児屋根命を祀る神社 (当ブログ内)

春日大社

奈良市の北東、奈良公園の奥に鎮座する世界遺産「春日大社」は、藤原氏の氏神として武甕槌命・経津主命・天児屋根命・比売神が祀られている。

枚岡神社

大阪府東大阪市の生駒山の麓に鎮座する枚岡神社にも、武甕槌命・経津主命・天児屋根命・比売神が祀られている。

奈良の春日大社に祀られる天児屋根命と比売神は、この枚岡神社からの勧請であるからして「元春日」と呼ばれている。

吉田神社

京都市左京区に鎮座する吉田神社も、藤原山蔭が春日大社から勧請した4柱を祀っている。平安京における藤原氏の氏神として発展し、さらに室町時代から吉田神道を唱えはじめ、江戸時代には全国の神社の頂点に立ったという。