八幡神社|奈良|元石清水は子安八幡宮とも称された女性の守護神だ。

2016年7月24日

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奈良市東九条町、ガン封じで有名な「大安寺」の鎮守として大安寺の南に鎮座する八幡神社は、「元石清水」とも言われる古社である。

なぜ元石清水と称されるようになったのか、そして、その真偽のほどは、、、

興味深い神社である。

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八幡神社について

八幡神社 概要

MAP

  • 所在地  奈良県奈良市東九条町1316
  • 電話番号 
  • 主祭神  仲哀天皇・応神天皇・神功皇后
  • 創建年  平安初期(伝)
  • 社格   村社
  • 公式HP  

最寄り駅

  • 「大安寺」バス停 徒歩12分、
  • 「南京終町」バス停 徒歩9分

駐車場

  • なし(無料)

八幡神社の創建

創建は807年。平安京遷都直後のことである。

大安寺の僧侶「行教」が、唐からの帰りに宇佐神宮を参拝。御魂を分霊頂き大安寺境内の石清水房に奉ったのが起源という。

後に神殿を造営し遷座、大安寺の鎮守の神として「石清水八幡宮」と号したとされている。

ところがその52年後、神託によって京の鬼門の鎮守として山城国「男山」へ遷座された。

遷座されたものの、その後も同場所において大安寺の鎮守としての機能を果たすことになるのである。

しかし、戦国時代の戦乱によって大安寺が衰退。さらに大地震によって大安寺が廃寺となった。これを契機に大安寺から独立。大安寺の鎮守という役割ではなく、この地の氏神として崇敬されるようになったとのことである。

さあさあ、この伝承によると「石清水」という社号すら、こちらが本家本元であるということになろう。

八幡神社の祭神

祭神は、「仲哀天皇」「応神天皇」「神功皇后」

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ここで思う。何故に「比咩大神」ではなく「仲哀天皇」なのだろう。

宇佐神宮、石清水八幡宮とも、祭神は「応神天皇」「比咩大神」「神功皇后」であるのに。

宇佐神宮によると「比咩大神」は「宗像三神」で、宇佐の地主神として祀られていたとされている。地主神だから分霊しなかったのか。しかし、石清水八幡宮には「比咩大神」が祀られている。「元石清水」には本家の神が祀られていないのに、石清水には祀られている。どいうことだろう。

男山の石清水八幡宮の由緒書によると、

南都大安寺の僧・行教和尚は豊前国(現・大分県)宇佐八幡宮にこもり日夜熱祷を捧げ、八幡大神様の「吾れ都近き男山の峯に移座して国家を鎮護せん」との御託宣を蒙り、同年男山の峯に御神霊を御奉安申し上げたのが当宮の起源です。

大安寺の行教が宇佐八幡宮からお連れしたことは共通するが、大安寺にお連れしたことは一切記述なしである。

ないどころか、完全否定していると聞く。

真偽の程は定かではない。そりゃそうだろう。

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参道エリア

大安寺のすぐ近くにあるので、カーナビは大安寺でセット。駐車場も大安寺の駐車場に。

周辺は田園風景が広がる農村といった風情で、高い建物がないため遠く東西の青垣を望むことができる。

春日山を望む

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参道

大安寺から南を眺めると、田畑の向こうに鎮守の森が横たわっているのですぐわかるだろう。その長い森がすなわち参道である。西側に回り込んで、一の鳥居から入る。

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やや寂れた風情であるが、休日ともなると年配のハイカーなどが、よく訪れるスポットだ。

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朱の灯篭が立ち並ぶ参道である。森のおかげで直射日光が緩和され、涼やかだ。野鳥のさえずりが心地よい。リラックスできるスポットである。

二の鳥居

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二の鳥居である。手前に小川が流れていたであろう形跡があるが、今は枯れている。ここで清流のせせらぎが聞こえてくれば完璧なシチュエーションなのだが、残念である。

大門

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なかなか歴史を感じる門である。このあたりにくると境内から雅楽の音色が聞こえてくる。いやがおうにも心が高ぶるのである。

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元石清水八幡宮と明記されている。

浄化のパワースポット「祓戸社」

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きちっと、祓殿社が鎮座。瀬織津比売命を祀っている。どちらの神社でもそうなのだが、祓戸社の前に立つと身が引きしまるのである。

本殿エリア

中門

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一見、割り拝殿のようにも見えるのだが、中門の左右に座を設けたものであるらしい。
かつて祭祀の際には、本殿に向かって左側に宇佐神宮の神職、右側に元石清水の神職が座したとのことである。

室町時代の骨組みが残っており奈良県指定文化財である。神職さん曰く、近々解体修理が行われるらしい。計画では3年。

地中には大安寺の遺構やもっと以前の遺跡がある可能性が高いので、もっと伸びるかもしれない。いいタイミングで訪れたものだ。

武内神社

本殿の左脇にある末社「武内社」。神功皇后の名参謀にして超天才であった武内宿祢命を祀っている。

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智力向上のパワースポットとしよう。

若宮神社

本殿の右脇には「若宮神社」。応神天皇の御子、「仁徳天皇」を祀っている。

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その他多くの末社が、本殿を囲むように配置されていた。

  • 菅原神社(菅原道真公)
  • 厳島神社(市杵島姫命)
  • 稲荷神社2社(保食神)
  • 猿田彦神社(猿田彦命・天照皇大神)
  • 金刀比羅神社(金刀比羅大神)
  • 春日神社(天児屋根命・大物主命)
  • 命婦神社(豊玉姫命・玉依姫命)
  • 加茂神社(伊邪奈岐命)、祓殿神社(瀬織津比売命)

子宝パワースポット ご神木

大門の脇に、しめ縄を施したご神木がある。楠と檜の根元が合体したもので、珍しいものであるらしい。

そして、檜の裏側(この画像は裏側から撮影したものである)は、根元から少し上がったところから二つに割れて、さらに上がったところで元の1本に戻るという形状をしている。

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楠を男性、檜を女性に見立てているようだ。

他人同士(楠と檜)が夫婦になって、女性(檜)に子供ができて母となり(二つに分かれて)、子供が独立して(また元の一本に戻り)、妻(檜)として、夫(楠)とともに生きていく 一組の夫婦(楠と檜)のありようを象徴しているのだとか。

縁結び、子宝、夫婦和合のパワースポットである。

最後に

宮司さんのお話しによると、

こちらの神社、由緒ある神社で歴史も古く、春日大社の上官(正預)に任命された者は必ず一度はこちらで勤務する決まりだったぐらい由緒ある神社であった。

しかし、現宮司さんが赴任されたときはかなり荒廃していて、氏子の皆さんと力を合わせて再興した神社らしい。

あちらこちらに、努力の形跡が垣間見える。あの「ご神木」もそうでろう。多くの末社もそうであろう。たくさんの石灯篭もそうであろう。

この苔むした庭をぜひ見にきていただきたいと思うのである。

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小一時間の滞在であったが、これほど好きになった神社はそう多くない。(えらそうな言い方で申し訳ないが)

もう、元石清水なのかどうなのかなど、どうでもよくなってくるのである。

大安寺の駐車場に停めさせていただく。

石清水八幡宮の記事はコチラ
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