大山積神・大山津見神・大山祇神
大山積神は、日本の神話に登場する神である。
大いなる山の神という意味である。
大山積神の概略
大山積神の神名
- 大山津見神>>>古事記
- 大山祇神>>>日本書紀
- 和多志大神>>>伊予国風土記
- 酒解神>>>日本書紀
和多志大神の「ワタ」はワタツミの「ワタ」。すなわち海である。山の神でありながら海の神でもあるわけだ。
瀬戸内海に浮かぶ三島に鎮座する大山祇神社の祭神は、もちろん大山積神である。ここでは、山の神よりも海の神の側面が強いと思われる。
そう思うと、山幸彦が向かった海の大神の宮は、三島だったのかも知れない。
酒解神は、木花之開耶比売命の出産を祝って「天甜酒」(あめのたむざけ)を造り神々に供げたことから名付けられた。
京都の梅宮大社に祀られている。
大山積神の神格
- 山の神
- 海の神
- 酒の神
- 軍神・武神
軍神とは?
大山祇神社がある三島は瀬戸内海のど真ん中。大陸からの技術や文化は九州を経て瀬戸内海を通り中央に伝わる。要するに海上交通の要衝である。
ここを制する者は日本を制すと言っても過言ではなく、平氏や源氏の時代から村上水軍・毛利家など武将の信仰が厚つかった。明治以降も伊藤博文や山本五十六をはじめとした政治家や軍人の参拝が多かったという。
大山積神のご利益
- 鉱業守護
- 林業守護
- 農業守護
- 漁業・航海守護
- 酒造守護
- 日本守護
大山積神の系譜
- 父>>>伊邪那岐命
- 母>>>伊邪那美命
- 妻>>>鹿屋野比売神
- 子>>>天之狭土神・国之狭土神
天之狭霧神・国之狭霧神
天之闇戸神・国之闇戸神
大戸惑子神・大戸惑女神
- 子>>>天之狭土神・国之狭土神
これは、速秋津日子神と速秋津比売神が海と河に分けて神を生んだパターンと同じで、山と野に分けて神を生んだことになる。
他にも、神話の中で大山積神の子とされる神々が登場する。
- 子>>>木花之開耶比売命(瓊瓊杵尊の妻)
磐長姫命(瓊瓊杵尊から返された)
木花知流比売命(須佐之男の子と結婚)
足名椎命・手名椎命(櫛稲田姫命の両親)
神大市比売神(須佐之男命の妻)
大山積神が登場する神話
誕生の神話
古事記より。
伊邪那岐命と伊邪那美命の神生みにおいて、家宅六神・海・水戸・海と河の神々が生まれたあと、、、
次に風の神、志那都比古神を生み、次に木の神、久久能智神を生み、次に山の神、大山津見神を生み、次に野の神、鹿屋野比売神を生んだ。亦の名は野椎神という。
ここで大山積神の次に生まれた鹿屋野比売神が妻となる。
日本書紀より。
日本書紀 第五段一書(六)より抜粋
伊弉諾尊と伊弉冉尊の神生みにおいて、風の神「級長戸辺命」を生み、食物の神「倉稲魂命」を生んだ後、、、
海の神を生んだ。その名は少童命。次に、山祇という山の神を生み、速秋津日命という水門の神を生み、句句廼馳という木の神を生み、埴安神という土の神を生んだ。
天皇の寿命が短くなる
古事記より。
瓊瓊杵尊が笠沙岬で美しい女性に出会った。誰かと問うと「大山津見神の娘で、名は神阿多都比売、亦の名は木花佐久夜毘売といいます」と答えた。
瓊瓊杵尊が「貴方と交わりたいと思うが、どうだ?」と言った。「私には答えられないので、父の大山津見神に聞いてくださいな。。。」と答えた。
それを聞いた大山津見神は大変喜んで、姉の石長比売を添えて、多くの品を持たせて嫁がせた。
しかし、その姉はとても醜かったので畏れ、妹の木花佐久夜毘売だけを留め置いて一夜を過ごした。
大山津見神は、石長比売が返されたことを大いに恥じて言った。
「私が二人の娘を嫁がせたのは、石長比売を側に置けば天津神の命は石の如く硬く動くことがないように、また、木花佐久夜毘売を側に置けば木の花が栄えるように繁栄するように、そう誓約したのだ。」
「しかし、石長比売を送り返し、木花佐久夜毘売だけを留め置いたならば、天津神の命は木の花のように儚いものとなるだろう。」
よってこれ以降、天皇の寿命は長くなくなったのである。
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