家宅六神|石土毘古神・石巣比売神・大戸日別神・天之吹男神・大屋毘古神・風木津別之忍男神
家宅六神は、日本の神話に登場する六柱の神の総称である。
その神名から、住居に関する神と解釈して「家宅六神」と呼んでいる。
がしかし「国生み」が終わり、海神・山神・風神など森羅万象に宿る神々を生んでいく「神生み」の一番初めに「家の神」が生まれることに違和感を覚えるのではなかろうか。
よって、家の神ではない別の見方をする説もある。
家宅六神の概要
家宅六神の神名と神格
石土毘古神(いわつちびこのかみ)
石と土の神とされる。礎石と壁土ということになろう。
国生みで生まれた島に大地が形成されたことの象徴と解釈する説もある。
石巣比売神(いわすひめのかみ)
石砂の神とされる。
上項の「石土毘古神」と男女の対ではないかと言われてる。
神名考では、石土毘古神は土を、石巣比売神は砂を司る神であるとしている。
国生みで生まれた島に大地が形成されたことの象徴と解釈する説もある。
大戸日別神(おおとひわけのかみ)
大戸=家の出入口。玄関の神だろう。
神名考では、門の神の一つであるとする。
古事記伝では「大直毘神」(おほなおび)と混同された神であると解釈。
天之吹男神(あめのふきおのかみ)
吹く=屋根を葺く動作。よって屋根を葺く神。
神名考では屋上の神と解釈。
古事記伝では「気吹戸主」(いぶきどぬし)と同神と解釈。
大屋毘古神(おほやびこのかみ)
葺き上がった屋根の神とされる。
古事記伝では、災厄を司る「大禍津日神」と同一神とする。
風木津別之忍男神(かざもつわけのおしおのかみ)
台風などから家を守る神とされる。
古事記伝では、「かざけつわけおしを」と読むとし、「底筒男神」または大祓詞の「速佐須良比売」と同一神としている。
家宅六神が登場する神話
国生みが終わったあとに登場する。
国を生いえみ終わった伊邪那岐命と伊邪那美命は、次に神を生むことにしました。
まず始めに生んだ神のお名前は、
- 大事忍男神(オホコトオシヲの神)
といいます。
次に、家に関係する神々をお生みになりました。その名は、
- 石土豐古神(イハツチビコの神)
- 石巣比賣神(イハツヒメの神)
- 大戸日別神(オホヒトワケの神)
- 天之吹男神(アメノフキヲの神)
- 大屋毗古神(オホヤビコの神)
- 風木津別之忍男神(カザモツワケノオシヲの神)
といいます。
次に海(うなはら)の神、その名も
- 大綿津見神(オホワタツミの神)
をお生みになり、
次に水戸(みなと)の神、その名も
- 速秋津日子神(ハヤアキツヒコの神)
- その妹の速秋津比賣神(ハヤアキツヒメの神)
を、お生みになられました。
このように、伊邪那岐命と伊邪那美命とで、大事忍男神から秋津比賣神まで、合わせて十柱の神をお生みになりました。
このように「国生み」という大仕事が終わったところで、大仕事を終えた象徴として大事忍男神が生まれた。
これはいいだろう。
しかし、その次に「住居の神々」が生まれ、そのあとに海の神、港の神、山の神と続く。
この順序に違和感を覚えたのが古事記伝の著者「本居宣長」である。
家の神ではない?
さて、もうお気づきであろうと思う。
本居宣長による古事記の注釈書「古事記伝」では、どの神も伊邪那岐命が禊を行った時に生まれ現れた、祓戸大神を構成する神々・大祓詞」に登場する神・もしくは住吉三神と同一神であると解釈されている。
神産みの最後に生まれる祓いの神々と、神産みの最初に生まれた神々が同じ祓いの神であると説くわけだ。
この件については、おいおい考察していくこととする。
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