龍王神社|学園前|雨乞いの神を祀る神社で不思議な体験をした話。
龍王神社は、奈良市中山町西にある神社。神社庁に参加しない独立系の神社である。
奈良市学園前という高級住宅街から、ほんの少し離れただけで、田園、小川、森という牧歌的な風景が広がる。
この風景と「龍王神社」という名称から察するに、おそらくは五穀豊穣を願い、そのための祈雨を求めて祀られた、当地域の農耕の守護神と思われる。
そう思いながら参拝したのであるが、、、
龍王神社について
龍王神社 概要
- 所在地 奈良県奈良市中山町西3丁目
- 電話番号
- 主祭神 豊玉彦神、瓊瓊杵尊、天忍穂耳尊
- 創建年 不詳 300年前?
- 社格 なし
- 公式HP なし
龍王神社 アクセス
MAP
最寄り駅
- 近鉄奈良線学園前 バスで10分
駐車場
- あり(無料)
龍王神社 祭神
現在、豊玉彦命、瓊瓊杵命、天忍穂耳命を祀る。
豊玉彦命
日本書紀に「海神豊玉彦(わたつみとよたまひこ)」として登場する。または、少童命(わたつみのみこと)。
古事記では綿津見大神(おおわたつみのかみ)。
まさしく海を司る大神である。この神社では、豊玉彦命を雨乞いの神として「龍王」の名で祀っている。
浦島太郎伝説の竜宮城は、この豊玉彦命の宮であるからして、「龍王」として祀られて当然である。
また、山幸彦・海幸彦神話で、山幸彦に「塩盈珠」と「塩乾珠」を与えたとされる。この珠は、海水の干満を自在に操ることができる霊力を持つ。
これを降雨のコントロールと考え「雨乞いの神」として祀られるのも然るべきであろう。
天忍穂耳命
天照大神と素戔嗚尊の誓約によって生まれた神。正式名称は、
古事記では正勝吾勝勝速日天之忍穂耳命、日本書紀では正哉吾勝勝速日天忍穂耳尊、先代旧事本紀では正哉吾勝々速日天押穂耳尊。
すごい名前なのである。
この神と高御産巣日神(たかみむすびのかみ)の娘「萬幡豊秋津師比売命(よろづはたとよあきつしひめのみこと)との間に、天火明命と瓊瓊杵尊が生まれる。
生命力の強い稲穂の神である。
瓊瓊杵尊
建御雷命が大国主命から譲り受けた葦原中国に、高天原から降臨した天照大神の孫、すなわち天孫である。
龍王神社の創建
由緒によると、
元禄年間の古地図に中山龍王として描かれていることから、創建は300年以上前である。
奈良市史によると、
中山は農家が中心の街で、龍王神社に対する信仰は篤く、日照りが続いたときはこの社殿に籠って心経七巻ないしは十巻を唱えて雨乞いの祈願が行われたという。
それでも雨が降らない場合は、ご神体を担ぎ出して「雨たんもれ」と掛け声を掛けながら町を練り歩き、近くの大渕池へ行き、「大洪水」「大洪水」と叫びながら池の水を掛けたらしい。
ここまですると、必ず雨が降ったとのこと。
龍王神社 ご利益
もちろん、水を司る神であるからして、、、五穀豊穣、あるいは、商売繁盛。
やはり、五穀豊穣を願い、そのための祈雨を求めて祀られた、当地域の農耕の守護神であった。
が、、、
龍王神社 参拝記録
学園前からバスに乗り、中山町西3丁目で降りる。そして秋篠川沿いの堤防を東に向いて歩く。
秋篠川は、大阪近郊ではなかなかお目に掛れない、コンクリートで固められていない自然に近い小川だ。
桜の木が並んでいる。春は綺麗なのだろう。木の根元には寄進者の名前のプレートが設置されている。
そしてなんと、少ないとは言うものの、梅雨時期には「蛍」が舞うという。
そんな小川の堤防を歩き、酒屋さんの駐車場を過ぎると、右手の田んぼの向こうに長く続く森が現れる。かなり長い森だ。
車から見た右手の長い森の風景
森を右手に見ながら5分ほど歩く長い森が終わる。川沿いから月極の駐車場が見える。その駐車場が森の先端。すなわち神社の入口だ。
駐車場へと上がる急な坂道がある。躊躇なく上がろう。
月極駐車場の奥は、区画が切っていないスペースがあるので、車でお越しの場合はそこに駐車すればいいと思う。
鳥居と社標
ここまでの行程で「鬱蒼とした森の中に鎮座する龍王神社」というイメージが私の中で確立していた。すなわち「荒れた風景」を思い描いていたのだが、
あにはからんや、実に美しく清掃され管理された神社であることは、この入口を見ただけでわかろうというものだ。 (と思ったのはこの時だけであったが、、、)
まずは、鳥居の左手前の社にご挨拶を申し上げよう。社名と祭神名も表されていない。
二礼二拍手一礼。
が、身のすくむような、背すじが凍るような怖さを感じた。とても近づいての写真撮影は無理であった。
鳥居をくぐろうかどうしようか迷ったたが、せっかくここまで来たのだから。。。と勇気を振り絞るのである。
山中の参道
こういう場合、この曲がった道は、私にとってはヤバイ系なのである。
和泉国一之宮の「大鳥大社」の本殿裏の祠に向かった時のことを思い出す。あそこは絶対に無理だった。
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トラウマの「曲がり角」を曲がると、、、
龍神池
池がある。龍神様が棲む池というわけだ。ここはなんとかクリアだ。
手水舎 遠景
この手水舎のある段、そこから一段、二段と上がって本殿に向かう構造となっている。
この手水舎の段は怖い。。。鳥居前の社よりも怖い。。。後頭部から背筋に掛けて、ジーンジーンとしびれる。ヤバいかも。。。
しかしまだ耐えられる。
手水舎で清めよう。
なかなか可愛い龍の水口だ。と思いつつ手口を清めたその時。。。とうとう来た。
画像の上部に赤と白の手拭が見えるだろう。この中央に掛っている白の手拭だけが、屋根に当たるぐらいの勢いで揺れだしたではないか!カランカランと音をたてて!
両側の赤の手拭は微動だにしないのに。
ええっっっっ!!
間違いなくヤバイ!!!後頭部のジンジンが増す!
さあどうする自分。行くか帰るか。帰ってもまたあの社が待ち構えている。んんっ。
進むことを選択した。天津祝詞を奏上しつつ、急ぎ本殿へと向かう。
本殿が収まる覆屋
二礼二拍手一礼。天津祝詞奏上。
んっ?無くなった。あの背すじジンジンが完全になくなった。全く恐ろしさが無くなった。
何が何だかわからないが、不思議な体験であった。
試されていたのであろうか。挨拶が遅すぎるとお怒りだったのであろうか。
(実は私、かつてこのあたりで住んでいたのだ。)
いずれにしても本殿に参拝したことが功を奏したようだ。
ふっと、右手に小さな祠があるのに気が付いた。
榊や供えものが新しい。毎日氏子さんによる清掃が行われていると見えて、砂利には熊手の跡がなだらかな曲線を描いている。
再び下段に降りたが、もう恐ろし気な霊気は無い。
最後に
参道の坂道を戻って、鳥居をくぐると、、、
はるか遠く、春日大社の神山「御蓋山」を望むことができる。
あれは何だったのだろう、、、貴重な体験をさせて頂いた。
結構身近な神社にも神の力は存在することを改めて知ることとなった参拝であった。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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