日前神宮・國懸神宮|伊勢と並び称される日前宮。ご利益は『良縁・結婚』。

2019年6月7日

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日前神宮(ひのくま)國懸神宮(くにかかす)は、和歌山市秋月にある神社。延喜式神名帳に記載される式内社の名神大社に列する霊験あらたかな古社である。

その後も二十二社に列し紀ノ國一之宮でもある。

近代においては官幣大社、現在は別表神社に名を連ねるという、国内屈指の大社である。

ここは、非常に珍しい神社で、一つの境内に二つの本宮が同列で配置されている。それが、日前神宮(ひのくま)國懸神宮(くにかかす)の二社だ。

そして、この二社を総称して日前宮(にちぜんぐう)と称されるのである。

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日前宮について

日前神宮の祭神

日前神宮の主祭神は「日前大神」。相殿に「思兼命」「石凝姥命」を祀る。

日前大神(ひのくまのおおかみ)

天の岩戸隠れの神話で「八咫鏡」を作る際、それに先だって作った鏡日像鏡」をご神体とする神。

元々は紀国古来からの「日の神」であったものが、記紀編纂以降、その思惑によって「天照大神の前霊」という格付けがなされたのではないかという説がある。鏡を神格化した神とも言われている。

いずれにしても、今となっては天照大神と考えてよかろうと思う。

思兼命(おもいかねのみこと)

高御産巣日神の御子神。

天の岩戸隠れの解決策を考えたり、国譲りの作戦を考えたり。高天原一の知恵者である。八咫鏡を作らせたのも、この思兼命である。

このようなことから、天照大御神の信頼厚く、何か事があると必ず思兼命に相談するのである。

さらに天孫降臨の際には「五伴緒」とは別に、瓊瓊杵尊に随伴する命を賜った三柱の神の内の一柱である。

石凝姥命(いしごりどめのみこと)

天の岩戸隠れで使用した八咫鏡を造った神。もちろん、当宮の日像鏡」を作ったのも石凝姥命だろう。

天孫瓊瓊杵尊の降臨の際には「五伴緒」の一柱として選出された神である。それだけ「鏡」が持つ霊力が皇統にとって大切なものだったということだろう。

なぜなら三種の神器の一つだからである。

国懸神宮の祭神

國懸神宮の主祭神は「國懸大神」。相殿神として、「玉祖命」「明立天御影命」「鈿女命」を祀る。

國懸大神(くにかかすのおおかみ)

國懸大神は、日前大神よりももっと謎の神。

こちらも八咫鏡に先駆けて作られた鏡であるところの、「日矛鏡」(ひぼこのかがみ)を神体とする神なのだが、、、

おそらく元々は、紀国の土地の神だったと思われる。紀国の大国魂神のイメージだ。となれば、、、五十猛命となろうか。最も自然である。

玉祖命(たまのおやのみこと)

玉祖命は、岩戸隠れの際に八尺瓊勾玉を作った神。後に三種の神器の一つとなる勾玉だ。

天孫瓊瓊杵尊の降臨の際には「五伴緒」の一柱として選出された神である。

明立天御影命(あきたつあめのみかげのみこと)

明立天御影命は、天目一箇神の亦の名である。さらには天津麻羅とも同一神だという。

天津麻羅は、石凝姥命とともに八咫鏡を鋳造した「鍛冶の神」。

鈿女命(うずめのみこと)

鈿女命は、一般的には「天鈿女命」「天宇受賣命」と表記される。

岩戸隠れ神話によると、、、

神懸りした「天鈿女命」が、伏せて置かれた桶を舞台として、陰部を見せんばかりに裸で踊ったため、神々が大爆笑。何だろうと思った天照大御神が岩戸を開けて顔を出した瞬間に引っ張り出された。

と描かれている。

このように物怖じしない性格の女神であることから、強い=「おず」で「おずめ」。これが訛って「うずめ」になったとか。

こちらも、天孫瓊瓊杵尊の降臨の際には「五伴緒」の一柱として選出された神である。

日前神宮・国懸神宮の創建

社伝によると、

神武天皇2年(西暦BC659年)、紀氏の祖神である天道根命(あめのみちねのみこと)が、天皇より日像鏡・日矛鏡を賜り、日像鏡を日前宮のご神体として、日矛鏡を國懸宮の神体として、名草郡毛見の地に、それぞれを祀ったのが始まりという。

垂仁天皇16年(西暦BC14年)に、現在地に遷座したと伝えられている。

毛見とは紀三井寺から海南へ抜けるトンネルあたりだ。

現在地とは、須佐之男尊の御子とされ、紀ノ國紀氏の始祖とも言われ五十猛命(いたける)を祀る伊太祈曽神社(いたきそじんじゃ)があったとされる場所。

中央豪族の紀氏により追い出されるような格好で、伊太祈曽神社は奥地へ遷座したという。

国津神から天津神への国譲り、言い換えると天皇家による古代豪族の懐柔の様子が、日前宮と伊太祈曽神社の関係にも現れていると言えよう。

ちなみに、伊太祈曽神社も紀ノ國一之宮とされている。

日前宮のご利益

ご神徳は、

  • 人々に活力を与え、
  • 良縁を結び、
  • 結婚の徳を授け、
  • 家内安全を約束していただける、

とのことだ。

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内参道と境内社

阪和道の和歌山インターを出て和歌山市内方面に向かって走行すると、左側にこんもりとした鎮守の森が見えてくる。

それが日前宮。ぐるっと回り込んで、不二家のケーキ屋さんのある信号を左折して駐車場に入る。駐車場への入り口が少しくわかりにくい。

無料である。ありがたい。

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一の鳥居をくぐると、左に神楽殿、右に社務所がある。トイレはここで済ませておこう。

そして、社務所で御朱印帳を渡しておいて、いざ参拝。

二の鳥居の奥の奥の灯篭

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二の鳥居をくぐると、ぐっと神域感が出てくる。清涼な気を感じ、心が落ち着くだろう。

前方に目をやると、森へと入る参道が伸びている。鳥居周辺が明るいため、参道奥は薄暗く見えて、これがまた神秘的な印象を与えるのだ。

突き当りに、看板が。左:日前神宮、右:国懸神宮である。

と、このあたり、なにやら強い神気を感じる。

その神気は、参道の突き当りのさらに奥からのようだ。森の中を見てみると、、、

画像が無くなってしまいました。。。

大きな灯篭が二基並んでいる。そのほかには何もない。

何もないが、かつて、そこに何かがあったと思わせるような佇まいである。

あとから、江戸時代の境内絵図を確認したところ、そこには五十猛命とその妹たち2柱の、合わせて3つの社が描かれていた。

伊太祁曽神社からの勧請であろう。

天道根神社

前述の分かれ道を左へ、すなわち日前神宮の方へと進むと、紀国初代国造「天道根命」を祀る「天道根神社」がある。名草郡毛見に、両神宮を創祀した人物だ。

意外と小振りな社である。

深草神社(腫物封じ)

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その前には「深草神社」。牛の置物が東向きに並べられていた。

牛から連想すると一般的には、牛頭天王(須佐之男尊)か菅原道真公を思い浮かべることになるのだが、こちらの祭神は、野槌神(のづちのかみ)。またの名を鹿屋野比売神(かやのひめ)

伊弉諾尊と伊弉冉尊の御子で、大山津見神の奥さん。鹿屋=萱で「野の草の神」

なぜ牛なのか?と問われれば、、、

古来から牛は神様の使いで(インドが発祥?)、野槌神は野草の神。

神の使いである神聖なる牛が草を食んでくれる=クサ(腫物)を食んでくれる、すなわち腫物封じのご利益を求めたということになるようだ。

拡大解釈して、腫物=腫瘍=ガン。ガン封じのご神徳があるかもしれない。

中言神社

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先ほどの分かれ道を右へ行くと、すなわち国懸神宮の方向へ進むと「中言神社」があり、和歌山の古代豪族である「名草姫」と「名草彦」が祀られている。

日本書紀では、神武東征のとき、河内国で長髄彦の軍勢に追い返された神武一行は和歌山に上陸し、その地の名草という女賊を誅したと書かれている。

その一方、和歌山の口承では、「名草は負けなかった。神武軍を追い払った。」とされている。

おそらく口承の方が正しいのだろう。何故かというと、、、

私見だが、河内国で阻まれた神武一行は、次に紀ノ川沿いルートを攻めたはず。紀ノ川の河口で名草氏を打ち負かしたのなら、紀ノ川を遡り大和へ入ることが出来たはずだ。

名草氏にも阻まれたがために、熊野へ迂回せざるを得なかったのだと思う。

日の神の子だから、日を背にして戦うべき、、、というのはこじつけなのである。と、私は思う。

日前神宮と国懸神宮

日前神宮 本殿

前述の通り、日前神宮の主祭神は、日前大神。相殿神として、思兼命、石凝姥命を祀る。

ご神体は、日像鏡」。

ご利益も前述の通り、人々に活力を与え、良縁を結び、結婚の徳を授け、家内安全。

一つ加えるとするならば、思兼命の知恵にあやかって、学業向上にご利益があるとしよう。

鳥居、玉垣、地面、、、ありとあらゆるところに苔が生えており、うっすら緑色をしている。それが何とも、しっとりした温かみを感じさせてくれて、よろしいのである。

国懸神宮 本殿

こちらが國懸神宮。日前神宮と全く同じ設計である。と思われる。

主祭神は、國懸大神。相殿神として、玉祖命、明立天御影命、鈿女命(うずめ)を祀る。

ご神体は、日矛鏡

こちらは、穏やかでありながら重厚感のある空気だ。

両方比べてみると、なんとなく、日前大神は女神で国懸大神は男神のような気がするのである。

それもそのはず、、、

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国懸神宮の向かって左前の木が、妙にフサフサと毛が生えているように見えるので、よく観察すると、

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苔むした幹からシダだろうか、根元から枝の先までびっしりと。これはまさに、スネ毛である。

それはそれとして、あらためて植物の生命力を感じされられた。

最後に

日前神宮・国懸神宮は、官位を受けていない神社で、これは伊勢の神宮とここだけ。つまり、官位を与える側だから官位を受けていないということ。すなわち伊勢の神宮と同格とされたということ。

そして、伊勢には内宮と外宮。こちらは、日前神宮と国懸神宮。伊勢神宮と日前宮は、まるで対になっているように思えてくる。

さらに、日前宮は紀伊半島の西の端、かたや東の端には伊勢神宮が鎮座している。そしてその真ん中に大和国があり、この3つを結ぶ線は、まさしく中央構造線だ。

このようなことから、この伊勢・日前の両神宮は、大和の地を、というか大和朝廷を、災害から守るために建てられたと言ってしまうのは言い過ぎだろうか。

先日の熊本大地震によって、阿蘇神社が倒壊してしまった。こちらも中央構造線上にある神社だ。

その他にも、諏訪大社、鹿島神宮、香取神宮、豊川稲荷など、中央構造線上には多くの由緒ある神社が存在する。

古代はもっと活発に断層が動いていて、巨大地震が頻発していたのではないだろうか。そこで、その場所に神様の依り代を設置し、地震を鎮める祭祀を行ってきたんじゃないだろうか。

などと、思う今日この頃である。

最後になりましたが、熊本地震で亡くなられた方々のご冥福と、被災された方々のお見舞いを申し上げて、レポートを終了させていただきます。

  • 所在地  和歌山県和歌山市秋月365
  • 電話番号  073-473-3730
  • 最寄り駅 和歌山電鉄 貴志川線 日前宮駅 下車徒歩1分
  • 駐車場  100台 参拝者無料
  • 主祭神  日前大神 国懸大神
  • 創建年  神武天皇7年(伝)
  • 社格   式内社(名大社) 紀ノ國一之宮 旧官幣大社
  • ご利益  縁結び 学業向上 病気平癒
  • 公式HP   http://hinokuma-jingu.com/