跡部神社|八尾|物部一族である阿刀連が、その祖神を祀ったと伝わる神社の本当の祭神とは?
大阪府八尾市亀井の住宅や町工場が密集する地域に鎮座する跡部神社は、延喜式神名帳に「河内国渋川郡 跡部神社」と記載されている式内社である。
かつてこの辺りは、物部氏と同族である「阿刀部連」が居住していたとされる。また、物部守屋の「阿都の別業」があった場所とも言われており、いずれにしても古墳時代から飛鳥時代にかけて栄えた地域であったことは想像に難くない。
旧大和川沿いは、この阿刀連の他に、物部大連・矢作連・弓削連・穴太部などなど、物部氏一族が居住しており、旧大和川の水運力を物部氏が完全掌握していたことがよくわかるのである。まさに、物部ワールドだ。
跡部神社について
跡部神社 概要
- 所在地 〒581-0065 大阪府八尾市亀井町2丁目4−5
- 電話番号 072-994-0287
- 主祭神 天照皇大神・阿刀連大神・八王子大神
- 創建年 不明
- 社格 式内小社
- 公式HP なし
跡部神社 アクセス
MAP
最寄り駅
- JR大和路線「久宝寺駅」徒歩8分
駐車場
- あり(境内乗り入れ)
阿刀部氏
先代旧事本紀によると、物部氏の祖神とされる「饒速日命」の孫であるところの「味饒田命」(うましにぎたのみこと)を祖とすると伝わる氏族である。
新撰姓氏録によると、平安初期には山城国・摂津国・和泉国あるいは大和国の桜井付近などに分布していたようだ。
肝心の河内国の記載がないのは何故だろうか。平安遷都に伴う移転だろうか、それとも物部宗家の滅亡と同時に各地に分散したのであろうか。。。
跡部神社の創建
創建年代は定かではない。
延喜式神名帳に記載されていることから、900年代には存在していたと思われる。阿刀氏の祖神を祀った氏神であるとするなら、阿刀氏が居住していたころにま遡るべきであろうから、平安初期以前ということになろう。
古墳時代から奈良時代末期のどこかで創建されたことになる。
跡部神社の祭神
現在の祭神は、天照皇大神・阿刀連大神・八王子大神である。しかし、そもそもの主祭神は「阿刀連大神」という。
阿刀連大神
跡部神社の本来の主祭神である。阿刀氏の祖神と伝えられているが、何故にこのような神名で祀るのだろうか。
阿刀氏の祖神ということであるから「味饒田命」を指すのだろうか。それとも、守屋滅亡の後の一時期には祀るに憚られた「饒速日命」が本来の祭神だったのだろうか。
天照皇大神と伊奘冉大神
由緒記に、天照皇大神と伊奘冉大神は、「明治5年に太政官符により合祀された」と記載されている。もう一度言う。由緒記に、わざわざ「太政官符により」と、わざわざ記載してあるのだ。
太政官符とは、当時の最高権力者からの命令である。そのような命令が下されたから合祀したということだ。
これは尋常ではない。尋常じゃないのは命令が下されたことではない。明治初期には当たり前のことであっただろう。尋常じゃないのは、それをわざわざ由緒記に記載しているという点である。
すなわち、「強制的にこのニ柱の大神を合祀させられた」と主張しているのと同じ意味なのだ。
このようなことから想像するに、主祭神は「饒速日命」であろうという結論に達するのである。
ちなみに、現在の祭神に「伊奘冉大神」は見えないようだ。
八王子大神
こちらは、近隣の祠に祀られていた八王子を昭和の初期に合祀したということである。
跡部神社の御利益
神社によると、一族・子孫繁栄、開運招福、家内安全のご利益が頂けるそうである。
「饒速日命」が祭神であるならば、起死回生・病気平癒も付け加えておきたいところだ。
跡部神社 参拝記録
八尾市亀井町の住宅・町工場密集地に鎮座する跡部神社には、車では近付かない方がよいと思う。道が狭く、駐車場がない。
よって、国道25号線沿いのスーパーマーケット「サンプラザ」の駐車場に止めさせていただく。そこから徒歩で5分。小学校の敷地に沿って裏側に回り込めば、すぐにわかるだろう。と思う。
必ず何か買い物をして帰って頂きたい旨を、ここに付け加えておこう。
公共交通機関でのアプローチであれば、JR久宝寺駅から歩くこと10分である。
ちなみに私は自転車でのアプローチだ。
標柱に「式内 跡部神社」とある。神紋は、勾玉を模った「巴紋」のようだ。
素朴ではあるが、清潔感のある神額である。
拝殿
どっしりとした雰囲気の拝殿である。二礼二拍手一礼。すがすがしい気分になる。
拝殿内部から弊殿
天照皇大神が中央に書かれた神額。そろそろ本来の姿・あるべき姿に戻す、すなわち中央に「饒速日命」と書いてもいいのでは?と思う。
本殿
ご神木
周辺が住宅と町工場の密集地だけあって「緑」というものが無い。この神社のご神木は、そういう意味でも貴重な存在なのではないだろうか。。。と思う。
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最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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