阿遅速雄神社|大阪|放出に鎮まる鴨の大神

2019年10月16日

阿遅速雄神社は、大阪市鶴見区放出にある神社。延喜式神名帳に記載ある式内社である。

JR片町線、学研都市線の放出駅から線路沿いの道を東へ250mほど歩いた北側にある。

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阿遅速雄神社について

阿遅速雄神社の概要

  • 所在地  〒538-0044 大阪府大阪市鶴見区放出東3丁目31−18
  • 電話番号  06-6962-0378
  • 主祭神  阿鋤遅高日子根神、八剣大神
  • 創建年    不明
  • 社格   府社
  • 公式HP   

阿遅速雄神社 アクセス

MAP

最寄り駅

  • JR学研都市線「放出」徒歩3分

駐車場

  • なし

すぐ前にコインパーキングあり。

阿遅速雄神社の祭神

祭神は、阿遅鉏高日子根神(あじすきたかひこね)八剣大神を配し祀る。

古事記には、

大国主神が胸形奥津宮におられる神の多紀理比賣命(タギリビメの命)を娶って生んだ子は、

兄が阿遲鉏高日子根神(アヂスキタカヒコネの神)。
妹の高比賣命(タカヒメの命)です。亦の名を下光比賣命(シモテルヒメの命)といいます。

ちなみに、阿遅鋤高日子根神は、今は迦毛大御神(カモの大御神)といわれています。

と紹介されている。

迦毛大御神

ここで特筆すべきは、迦毛大御神

大御神(おおみかみ)という称号が使われるのは、天照大御神、伊邪那岐大御神と、迦毛大御神の三柱しかいないのである。

どのような経緯で(古事記編纂時期の政治的な何かがあったと思われる)国津神が大御神の称号を得たのだろう。

高鴨神社

阿遅鋤高日子根神の本貫は、御所市の高鴨神社である。同じ大国主神の御子「八重事代主神」は御所市の鴨都波神社や橿原市の高市御縣坐鴨事代主神社に祀られている。

このように、古事記には出雲の神として描かれている2柱の神がいずれも奈良南部に祀られる根拠は、

出雲国造神賀詞の中で謳われる

己命の御子あぢすき高孫根の命の御魂を、葛木の鴨の神奈備に坐せ、事代主の命の御魂をうなて(の神奈備)に坐せ

にある。

阿遅速雄とは

当神社名となっている「阿遅速雄」は阿遅鋤高日子根神を指すとされている。

高鴨神社には、かつて阿遅鋤高日子根神の御子を祀る摂社があった。その社名が「阿遅速雄神社」。

となれば、阿遅速雄は阿遅鋤高日子根神ではなく、子供ということになるのだが、、、

阿遅速雄神社の創建

迦毛大御神の降臨

社伝によると、、、

鴨の阿鋤遅高日子根神は当地に降臨されて土地を拓き、民に農耕の業を授けたという。 民人は、その御神徳を尊び摂津河内の国造神として、この地の守護神として斎きまつると云い伝へられる。

とある。「国造りの神」とは、父である大国主命を彷彿とさせる。

さて、鴨(葛城)からは、葛城川を下って曽我川に合流し、さらに大和川を下って河内国に入ったところで石川と合流すると、長瀬川(古大和川)を下って北上し河内湖にそそぐ。その河口が放出あたりだったという。

まさに、鴨の大神が川を下って放出に降臨したのである。

そして、河口の高台に鎮座する神社だったことから「浦明神」とも称されたという。

八剣大神(配神)

昔、新羅の僧「道行」が、熱田神宮からご神体の草薙神剣を盗み出し、この地から船で新羅に逃げようとしたのだが、難波の津で大嵐に遭遇し吹き戻され、この河口で嵐の猛威が一層強まった。

道行は「これは神による罰だ」と畏れ、神剣を河に投げ捨て逃げ帰った。これが地名となった。「放り出す」で放出(ハナテン)。

投げ捨てられた神剣は、この地の里人が拾い上げて、ひとまず阿遅速雄神社に合祀した。

熱田神宮へ返却されることになったとき、その神剣に宿る神霊は分霊され当社に留め祀られ続けたという。

この神霊が、八剣大神である。熱田神宮の別宮に「八剣宮」があるので、それから頂いた神名だろう。

阿遅速雄神社のご利益

一般的なところで、五穀豊穣、商売繁盛、家内安全、事業安定といったところか。

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阿遅速雄神社 参拝記録

放出と言えば、ハナテン中古車センターの魅惑的なCMを思い出す。「あなたクルマ売る?私、高~く買うわ、、、」と、セクシー美女がつぶやくCMだ。

これを知っている人は、おそらく50代以上だろう。とまあ、そんなことはどうでもよい。

放出駅の北口側から線路沿いに東へ進む。たこ焼きジャンボの角を左へ曲がるとすぐだ。神社には駐車場は無い。正面にコインパーキングがあるのでそちらを利用しよう。200円だ。

社頭

まずは、この重厚な薩摩門がお出迎えだ。明治に入った頃、近くの薩摩屋敷から移設したと聞く。

鳥居

門をくぐると鳥居が立つ。この神額は、なかなか見ごたえがある。

いいでしょ!

御神木の楠

大阪府の天然記念物に指定されている。

拝殿

カチッとした拝殿。間口は狭いが奥行きがある。提灯をつる枠組み?が邪魔だが。

二拝二拍手一拝。

本殿

唐破風付きの神殿。基本、本殿に唐破風は好きではないのだが、これはこれでカッコいいと思った。

ちょっと、東京の白山神社の本殿に似ているような気がする。。。

境内社

境内の北側に末社が並んでいる。

相殿社

3ブロックに分かれている。

  • 左プロック・・・春日大神・住吉大神・八幡大神・金刀比羅大神
  • 中ブロック・・・天照皇大神・大国主大神・大歳大神
  • 右ブロック・・・事代主大神・大地主大神

最上位であろう中ブロックに、大歳大神が祀られているのが興味深い。私は饒速日尊をイメージした。

大将軍社

大将軍は方位の神。

楠木稲荷社

20基ほどの朱鳥居が並ぶ。綺麗な稲荷社だ。楠木稲荷大明神を祀る。

護国社

国のために命を捧げた人々が神上がり祀られる。それが護国神社である。

菖蒲神池と祠

菖蒲神池というが、水は無い。グラスバンカーといった感じ。

とは言え、この池には次のような逸話がある。

仁徳天皇が病に倒れたとき、夢枕に阿鋤遅高日子根神がたって、こういった。「宮の東にある神池の菖蒲を供えて祀れ。さすれば病は必ずや治癒するであろう。」天皇は、神池の菖蒲を刈り取ってきて祀った。すると病は嘘のように消え去った。

それがこの菖蒲神池なのだ。

今でも、当神社には菖蒲刈祭があり、その神前に供えられた菖蒲を頂いて、軒先に掲げて無病息災を祈った風習が全国に広まったと聞く。

端午の節句に菖蒲をお風呂にいれて無病息災を祈るというように形を変えて、今でも残っていると言えよう。

ちなみに、この祠には道祖神が祀られているという。菖蒲神池と道祖神の関連性は定かではない。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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