えびす・戎神・恵比寿神|海からやってくる福の神

2017年12月29日

全国各地に商売繁盛の神として祀られ、七福神の一人として有名な「えびす」。日本人で知らない人はいないであろう超メジャーな神なのだが、この神、実は記紀には登場しない。

えびすとは民間信仰の神

本来、えびすとは民間信仰の神で「海から稀に流れ着く漂着物(外国の物)」に対する信仰が神格化したもの。

よって、海神であり寄り神である。

かつて日本の漁村では、クジラ・イルカ・ジンベエザメなどを「えびす」と呼んでいた。

クジラがやってくると豊漁となることが多いらしい。そして、クジラやイルカが沿岸部までくることは稀なこと。

すなわち、クジラ(えびす)は「寄り神」であり「漁業の神」に値する。

「えびす」が漁業の神として信仰されていた証だ。

あてがわれた記紀の神

このような民間信仰から発生した神なので、なんとか記紀に登場する神の中から習合できる神を探し出そうという試みがなされた。

よって、無理やり?記紀に登場する神を探し出そうという試みが行われてきたようだ。

現在、全国の戎神社で祀られている「えびす」の習合神は、、、

蛭子命

古事記では、伊邪那岐命と伊邪那美命の最初の子。不具の子であったがために、葦で作った船に乗せられ海に流された。かわいそうな神。

この蛭子命が漂着したという伝承が各地にある。

「漂着した」が海からやってきた「寄り神」であり、「えびす」と習合するキーワードだろう。

蛭子命をえびすとして祀る神社の代表が西宮神社。全国の戎神社の総本宮と称される。

事代主命

事代主命は大国主命の息子の一人で後継者的存在。神格は「託宣の神」。託宣とは、神の言葉を伝えること。

もともとは、大和の葛城地方の鴨族が祀る田の神。同じ葛城地方の大豪族「葛城氏」が祀る一言主神の神格を引き継いだとされる。

事代主命には水や海に関する神格はない。ではなぜ「えびす」と習合させたのか、、、

出雲の国譲り神話。

天津神から国を譲るよう迫られた大国主命は、その判断を息子の事代主命に委ねた。

その時、事代主命は美保ケ崎で魚釣りの最中だったが、ことの次第を聞くと、「承知した」と答えて、乗っていた船を青柴垣に変えて中に隠れた。

この、「魚釣りの最中」が、「釣りの好きな神」と考えられ、「漁業の神」とされ、「えびす」と習合さることになったのだろう。

現在の鯛を釣り上げる「えびす像」は、まさしく事代主命をモデルにしたと思われる。決して蛭子命ではない。

事代主命をえびすとして祀る神社の代表格は、大阪の今宮戎神社だ。

少彦名命

神皇産霊尊の子。すなわち天津神。

海のかなたからガガイモの船に乗ってやってきて大国主命の国造りに協力した。医薬・土木・酒造・呪いなどの神。いかにも先進技術を習得した外来神のようにも見える。

海の神・漂着神の性質を持っていることが、習合の理由だろう。しかし、少彦名命をえびすとして祀る神社は極稀だ。