金山媛神社|大阪|
金山媛神社は、大阪府柏原市雁多尾畑にある神社。延喜式神名帳に記載ある式内社である。
鎮座地の雁多尾畑は「かりんどばた」と読む。平坦な土地もなく、農業などには適さない谷合の集落だが、住宅が密集しているという不思議な場所だ。
「この集落は、古代の鉄鋼精錬や鍛冶に精通した一族が形成した集落だった」と聞くと、なるほどと腑に落ちる。そんな場所である。
そんな場所の金山比売神を祀る神社であるからして、製鉄に関する神社なのであろうということは想像に難くない。
金山媛神社について
金山媛神社 概要
- 所在地 大阪府柏原市大字雁多尾畑4828
- 電話番号 072-979-0683
- 主祭神 金山比売神
- 創建年 不詳
- 社格 式内社、村社
- 公式HP なし
金山媛神社のアクセス
MAP
最寄り駅
- JR大和路線「河内堅上駅」徒歩35分
駐車場
- あり
金山媛神社の祭神
祭神は、金山比売神。この社名で金山比売神以外の祭神はあり得ないだろう。
金山比売神
日本神話の伊邪那岐と伊邪那美の神生みで生まれた神。
古事記では、
伊邪那美が火の神「カグツチ」を生んだ時、ホト(陰部)に大火傷を負って病に臥してしまった。病の苦しさに耐えかねてゲロを吐いてしまった。その吐瀉物から金山彦と金山姫が生まれた。 |
と記述されている。
その吐瀉物が、溶けて流れる金属の様子を表すとして、金山彦・金山姫は鉱物・金属を司る神と解釈されるようになり、古代の金属精錬技術者が奉祀するようになったと聞く。
金山媛神社の創建
創建年代は定かではない。
大阪府全誌によると、
金山彦・金山媛の両社とも、獄山の嶺に奉祀されていたが、中世に至り現在地に遷された。
とある。獄山は、地元住民が言うことろの「留所山」だそうだ。地図にはない。.
大阪府誌、河内名所図会では、金山彦神社の項に遷座の記載があるが、金山媛神社には遷座の記載はない。記載がないからと言って遷座がなかったということにはならないが。。。
留所山
当地から府道183を登ること2km弱の所に竜田古道里山公園があり、その奥に留所霊園という墓地がある。その裏山が留所山と呼ばれている山だ。
その留所山を南西に降りてきたところの少し開けた谷合に金山媛神社があり、さらに下って里への出口手前に金山彦神社があるといった位置関係になる。
雁多尾畑
大阪府全誌の考察によると、
当鎮座地の雁多尾畑は、かつて大県郡賀美郷に属し、和妙抄に見える「上村主(かみのすぐり)が連の姓を賜った」の上連(かみのむらじ)は賀美郷の人である |
とある。
村主(もんど)は、渡来系氏族に与えられた姓であることから、この地は渡来人が棲みついた場所と言える。
そして当地から鉄滓や鉄塊が出土しているところからして、
獄山に祀られていた鉱山の神を、鳥取氏が守護神として青谷に祀ったのが金山彦神社で、上村主一族が守護神として雁多尾畑に祀ったのが金山媛神社となった、という推測が出来るのではないだろうか。
風の神
実は、留所山からさらに北へ行くと、風の神が降臨したという御座峰がある。この風の神は龍田大社に祀られている風の神だ。
この峯は、製鉄に不可欠な強い風が吹くという。「もっともっと強い風が吹きますように!」との願いを込めて風の神を祀ったのが起源ではなかろうかと、半ばこじ付けだが推察する。
ご利益は金運と必勝、そして、、、
金山媛神社のご利益は、鉱物・金属に関する神であることからして金運向上が期待できよう。
また、製鉄の発展は農機具だけでなく武器の発展にも寄与した。銅剣と鉄剣では切れ味と耐久性に大きな差がある。もちろん鉄剣の方が優る。
よって、必勝のご利益を求めて祈願するのも良かろうと存ずる。
そして忘れてはならないのが、伊邪那美命の難産の果てに生まれた神であることだ。ご婦人の健康と安全を祈願するべき神なのである。
金山媛神社 参拝記録
青谷の金山彦神社から山を登ること車で2分、徒歩なら25分ぐらいだろうか。ほぼほぼ1本路なので、迷うことは無い。
小学校を過ぎたらすぐ左に看板が見えるだろう。
社標と駐車場
道沿いに立つ社標と看板。結構目立つから見過ごすことは無い。そしてここが駐車場となる。車祓の駐車スペースのようだが、駐車して構わないと思う。
石段
ここを登るとすぐ境内となる。
一の鳥居
境内は2段構成。一段目が、この内参道と拝殿。二段目に境内社が並ぶ。
山中にある神社だし、下の駐車場あたりが少しく穢かったので、寂れた神社だと思い込んで上がってきたが、それは滅相もないことであった。
細部にまで行き届いた清掃。左右対称に並べられた植木プランターや灯籠。実に気持ちの良い境内である。
伊勢神宮遥拝所
金山彦神社と同じ仕様の遥拝所。
木製の柱から立ち上るのは太陽のモニュメントだろうか。たぶんそうだろう。この太陽を天照大御神として拝するというわけか。
柱に書かれてある文字「天壌無窮」は、天照大御神が下された神勅の中でも特に重要な神勅「三大神勅」の一つ。
天照大御神が、孫の瓊瓊杵尊の降臨に際して与えた神勅である。
葦原千五百秋之瑞穗國、是吾子孫可王之地也。宜爾皇孫、就而治焉。行矣、寶祚之隆、當與天壤無窮者矣。
この日本の国は、私の子孫が王となるべき地でなのです。皇孫であるあなたが行って治めなさい。無事でいなさいね。皇室が栄えることは、天地がある限り永遠となりましょう。
拝殿
拝殿も新しいようだ。氏子さんたちの気合の入り方が見て取れるというものだ。
拝殿から幣殿
キラキラ輝く幣殿。正面に大きな鏡が据えられている。神社の鏡としては、これほど大きな鏡は見たことがない。
二拝二拍手一拝。天津祝詞を奏上。背中から風が吹いてきた。コロナ退散を願う。
低くしていた頭を上げて正面を見る。
んっ?どこかで何かが動いている気がする。何が動いている?
おおー、わかった!
大鏡の上にある透明の珠?の色が赤やら青やら紫やらに変化していたのである。
お供え物にパイナップルなんかがあったりなんかして、なかなか面白い幣殿であった。
宮司さんの茶目っ気が見て取れて楽しいのである。
本殿
拝殿の後ろに本殿の屋根が見えるのみ。
本殿の奥には、磐座があると聞くが、見ることは出来ない。
境内社7社
拝殿の左から一段上がると、このように境内社がズラッと7社並んでいる。しかもカーポートのような覆いで守られている。
氏子さんたちの気合の入り方が見てとれようというものだ。
祭神名の案内は無かったため、社名のみ列記する。右から、、、
- 大神社
- 大将軍神社
- 素戔嗚神社
- 若宮神社
- 春日若宮神社
- 春日神社
- 天王神社
貴船神社
おそらくは水の神だと思われるが不詳。一般的には貴船神社は高龗神を祀るものだが。。。
透神社
こちらが摂社の透神社だという。案内がないので自信なし。祭神は、風の神「志那都比古神」だと聞くが、これもまた自信なし。
志那都比古神だとするならば、御座峰の風の神を勧請したのかしらん。と思う。
上の段から下界を見てみると、、、
山しか見えなかった。がしかし、それはそれで当然ながら美しい景色であったことは付け加えておこう。
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