田村神社|香川|讃岐国一之宮
田村神社は、香川県高松市一宮町にある古社。
延喜式神名帳に記載ある式内社の中でも、ひときわ経験あらたかな名神大社に列し、讃岐国一宮にして、旧社格では官幣中社という、永い歴史と深い信仰を持つ大社である。
当神社は、いにしえの伝統を守りつつも、それにとらわれない自由な発想を持っていて、境内はあたかもアミューズメントパークのごとき様相を呈している。
面白い。
田村神社について
田村神社 概要
- 所在地 〒761-8084 香川県高松市一宮町
- 電話番号 087-885-1541
- 主祭神 田村大神
- 創建年 702年(伝)
- 社格 式内名神大社・一宮・国幣中社・別表神社
- 公式HP http://tamurajinja.com/
田村神社 アクセス
MAP
最寄り駅
- 琴電琴平線「一宮駅」徒歩10分程度
駐車場
- あり(無料)
田村神社の祭神
祭神は「田村大神」。
田村大神とは、次の5柱の神の総称である。
倭迹迹日百襲姫命 (やまとととひももそひめのみこと)
第7代孝霊天皇の皇女。
後述する兄弟である五十狭芹彦命が西道を平定した後、讃岐のこの地に住んで農業殖産の開発神となったという伝承が残る。
迹迹日(ととひ:ととび)は「鳥飛」で、脱魂型の巫女を表しているとも。
五十狭芹彦命 (いさせりひこのみこと)
第7代孝霊天皇の皇子で、10代崇神天皇の御代に四道将軍の一人として西道に派遣された武勇に優れた武将。
吉備国を平定したため、別名を吉備津彦命(きびつひこのみこと)ともいう。
猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)
伊勢国の国津神。
天孫瓊瓊杵尊が天から降臨されるとき、途中まで迎えに行き道案内をした神。
導きの神として、また道祖神として全国の村々に祀られた。
天隠山命(あめのかぐやまのみこと)
当社の説明では「別名を高倉下命(たかくらじのみこと)」としている。天隠山命=高倉下命ということだ。
天隠山命=天香語山命なのだろうから、天香語山命は天降った後に高倉下命と名乗ったという先代旧事本紀の説を踏襲しているのであろう。
海部氏勘注系図によると、高倉下命は天香語山命の子だが。
天五田根命 (あめのいたねのみこと)
別名を天村雲命(あめのむらくものみこと)としている。天村雲命は天香語山命の御子。
田村神社の創建
古代において、湧水の上にイカダを浮かべて水神を祀ったのが起源と言われている。
というのも、讃岐平野の気候は典型的な瀬戸内海式気候で、雨が少なく日照が強い。慢性的な水不足に悩まされてきた。だから香川県には溜池が多い。
そんな渇いた平野にあって、ここは数少ない湧水地だった。水神が祀られるに相応しい場所だ。
その後、和銅2年(709年)に行基によって、その湧水の井戸の上に社殿が造営された。これを以って創建とする。
ちなみに、本殿の下の井戸を覗くと死ぬらしいから、恐ろしい。
田村神社のご利益
田村神社の本来的ご利益は、五穀豊穣であろう。
しかし、境内には多くの神が祀れており、それぞれにご利益がある。
参拝記録の中でご紹介していきたいと思う。
田村神社 参拝記録
田村神社は、平安時代には名神大社であり、一之宮であった。きっと今よりももっともっと大きな神社だったと思われる。
それは、参道の長さに現れている。
駐車場が随神門内にあるため、なかなか一の鳥居まで行くことは無いだろうが、一の鳥居から本殿前の三の鳥居まで、およそ350mもあるのだ。ちなみに、京都の北野天満宮が250m、下鴨神社が400m。
下鴨神社に匹敵する大社だったということになろう。
三の鳥居
白く美しい明神系の鳥居である。
本殿
この本殿の奥に、奥宮がある。その御神座の下には深い深い淵があり、そこに龍神が棲むという。
社殿によると、
明暦元年(1655)のこと。神社から社殿の改築工事の申請を受けた普請奉行「竹村斉庵」(たけむらさいあん)が、神官に「社の下の淵を見せよ。」と言い出した。
困った神官は「どんな祟りがあるか分からないので、おやめなさいませ。」と断った。それでも「いや是非見たいのだ。」と言うので、 神官はしかたなく淵を見せた所、 しばらくして水が逆巻き上り、その中から龍が紅の舌を巻き三間ほど頭を出して斉庵をにらんだ。 |
という恐ろしい神様の前であることを念頭に置きながら、二拝二拍手一拝。
宇都伎社
田村神社本殿のお隣に鎮座するのが、宇都伎神社。
御祭神は大地主神、倉稲魂神である。ご利益は、家内安全、生活守護という。
拝所の両脇に、金色に輝く大黒さんと布袋さんが安置されている。いかにも福が付きそうで、ありがたし。
また、この宇都伎社の真ん前に巨大な龍神様の像が設置されている。そしてその足元には黄金の小判がばら撒かれている。どうやら金運の神様としておられるようだが、あまりにも世俗的すぎて、、、引く、、、
姫之宮
宇都伎社の左手前に小さな石の祠があった。「姫之宮」である。
強力な縁結びの神として信仰を集める。祠の裏にある格子に錠前をかけると縁が結ばれるという趣向である。
しかしながら祭神がわからない。祭神名もわからず参拝するのは本意ではない。
少しく考察してみた。
姫の宮であるあるからして女神が祀られているのであろうが、
おっと、この石の祠には、見覚えがある、、、
下は、高松市の亀井戸跡に祀られている水神社の石祠。
こちらの祭神は、水波能売命。当然ながら水の女神だ。水資源が貴重な高松市街であるからして、井戸には水神が祀られているのである。
こうなると、この姫之宮の祭神も水の女神であると直感的に思うわけだ。
となれば、もともと井戸にイカダを浮かべて祀っていた神こそが水波能売命であり、祭神を倭迹迹日百襲姫命に変更した際に、別に祀られるようになったのでは、、、
と、、、
淡嶋社
宇都伎社と素婆倶羅社の間に、小さな小さな祠がある。「あわしまさん」と書かれてある。
きっと淡嶋社だろう。そして、淡嶋社であるからして、祭神はおそらく少彦名命だろう。
少彦名命は小さな小さな神様。蛾の羽を着ていて、ガガイモの殻の船に乗り、海を渡ってやってきたとされている神だ。
女性の病気回復や安産・子授けなどに霊験あらたかといわれている。
祠の後にあるグリーンモンスターを見るにつけ、特に子授けに関して霊験あらたかであろうことは想像に難くないのである。。。
素婆倶羅社
そのお隣に鎮座するのが、素婆倶羅社。祭神は、少彦名神、大年神、塞神、大水大神、菅原神とのこと。
こちらにも少彦名神がいらっしゃる。そして菅原神も、次の天満宮と重複か。
ご利益は、安産、病気平癒、身体健康など。特に女性の守護神として往古より参拝が多いという。
であるからして、先ほどの「あわしまさん」は、さしずめ素婆倶羅社の出先機関となろう。
一宮天満宮
さらに、そのお隣が「一宮天満社」。祭神は菅原道真公。ご利益は学業向上。
合格祈願に訪れる学生さんで賑わう。
しかし、以前に参拝した時は、合格門は無かったような気がするのだが、、、
この合格門をくぐり抜けて、臥牛が加えている金の珠を回すと、願いが叶うという。
いやはや、どんどん進化する田村神社である。
お迎え布袋尊
天満宮の横の赤い鳥居の列「北参道」通って、裏へ抜けてみよう。
赤い鳥居の最終点、すなわち北鳥居の前に燦然と輝くのが、お迎え布袋尊。
最後に
今回ご紹介したものは、境内の三分の一にも満たないかもしれない。
残りのスポットを列記すると、、、
- 安産子宝犬
- はらみ石
- わらべ七福神
- 子育て布袋尊
- 弁財天
- 七福神巡り
- 宮島社
- 稲荷社
- 歳徳神社
- 久延比古社
- 恵比寿社
- 田の神
- 愚痴聞き
- 鐘楼門
などなど。お腹いっぱいだ。また来よう。
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