闇龗神(くらおかみのかみ)・高龗神(たかおかみのかみ)
「くらおかみの神」と「たかおかみの神」を総称して「おかみの神」といわれ、罔象女神(みつはのめのかみ)と並ぶ、日本の神話に登場する「水の神」の代表選手である。
龗神の神名
闇龗神は古事記と日本書紀の両方に登場する。
- 闇於加美神(くらおかみのかみ)>>>古事記
- 闇龗神(くらおかみのかみ)>>>日本書紀
一方、高龗神(たかおかみのかみ)は古事記には登場せず、日本書記でのみ登場する神だ。
なので、高龗神と闇龗神は対、あるいは同体、あるいは分解されたか。
龗神の神格
闇龗神の神格
対のように見えるがゆえに闇龗神の神格は、、、
- 谷間に流れる川を司る龍神
とし、
高龗神の神格
そして高龗神の神格を、、、
- 山に降る雨を司る龍神
とするのが一般的だ。
山に降った雨は山に貯えられ、それがしみだして谷川となり里に流れ来る。このストーリーを高龗神と闇龗神が担っているということだ。
一方、川は時として人を苦しめる。闇龗神はそういう荒ぶる側面も持っていて、だからこそ「闇」。
全国各地に伝承されている九頭竜伝説。この九頭竜こそが闇龗神なのではないだろうか。すなわち「邪神」。
闇龗神が封じ込められ、そして祀られることで、高龗神となったのでは?とも思うのである。
龗神のご利益
一般的に、祈雨・止雨とされている。水量のコントロールをしていただく神というわけだ。
龗神の系譜
- 父>>>加具土命
- 母>>>十握剣、あるいは加具土命の血
龗神が登場する神話
誕生に関する神話しかないといえる。
古事記
火の神「加具土命」を出産した伊邪那美命は、陰部に大やけどを負い、それが原因で死んでしまう。
そのあとに「闇淤加美」の誕生を表す説話が続く。
伊邪那美命を葬り終えるやいなや、伊邪那岐命は佩いていた十拳の剣を抜いて、迦具土神の首を切り落としました。
その刀の切先から飛び散った血が、湯津石村(岩群)に付いたところから現れた神々の名が、石拆(いわさく)の神、次に根拆(ねさく)の神、そして石筒之男(いわつつおお)の神の三柱の神です。
次に、刀の根元から飛び散った血が、湯津石村(岩群)に付いたところから現れた神々の名が、甕速日(みかはやひ)の神、次に樋速日(ひのはやひ)の神、そして建御雷之男(たけみかつちのお)の神、亦の名を建布都(たけふつ)の神、または豊布都(とよふつ)の神という三柱の神です。
次に、刀のツカに集まって指から滴り落ちる血から現れた神々の名が、闇淤加美(くらおかみ)の神、次に、闇御津羽(くらみつは)の神の二柱の神です。
このように、石拆神から闇御津羽神までの合わせて八柱の神々は、伊邪那岐命の刀によって現れた神々です。
日本書紀 第五段 一書
古事記と同じく、伊弉冉尊が死んでしまったあとのこと。
ある書物では、伊弉諾尊が剣を抜いて軻遇突智を三段に斬りました。一段から「雷神」が成りました。また一段からは「大山祇神」が成り、さらに一段から「高龗」が成りました。
高龗神・闇龗神が祀られている神社(当ブログ内)
高龗神社(奈良県天理市)
大和神社の摂社。現在は摂社という地位に甘んじているが、もともとは全国に何千とあるであろう水神を祀る神社の総本社とのこと。
白龍神社(名古屋市中村区)
高龗神と須佐之男命を祀る神社。金運によろしいとのこと。
奥にある鳥居が斬新な白龍神社。この境内には、目には見えない何かが蠢いているのがわかる。不思議な体験ができるはずだ。
神楽岡社(京都市左京区吉田)
吉田神社の摂社「神楽岡社」に、雷神、大山祇神とともに高龗が祀られている。日本書紀による誕生神話と同じ3柱の神々が揃って祀られている。
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