豊受大神・豊宇気毘売神(とようけ)|外宮に祀られる食物・穀物の女神
豊宇気毘売神は、古事記に登場する神。
伊勢の神宮では「豊受大神」として外宮の正宮に祀られている、食物・穀物をつかさどる神である。
豊受大神・豊宇気毘売神の概略
豊受大神・豊宇気毘売神の神名
- 等由気大神(とようけのおおかみ)>>>古事記
- 登由宇気神(とようけのかみ)>>>古事記
- 豊宇賀能売神(とようかのめのかみ)>>>丹波国風土記
- 止与可乃売神(とようかのめのかみ)>>>摂津国風土記
- 豊岡姫命(とよおかひめのみこと)>>>陸奥国風土記
大物忌神(おおものいみのかみ)、倉稲魂命(うかのみたまのみこと)、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)などと同一神とされる。
さらには、伊勢神道(渡会神道)によれば、天地開闢で現れた創造の神であるところの天之御中主神や国常立神と同一神とも。
豊受大神・豊宇気毘売神の神格
- 食物の神
- 穀物の神
豊受大神・豊宇気毘売神のご利益
- 農業守護
- 衣食住守護
- 産業振興
- 開運招福
- 厄除け
豊受大神・豊宇気毘売神の系譜
古事記によると、、、
- 祖母>>>伊邪那美命
- 母>>>稚産霊神
豊受大神・豊宇気毘売神の神話
古事記において豊宇気毘売神が最初に登場するのは、伊邪那岐命と伊邪那美命の神産みの最終場面。火の神「加具土命」を生んだ段に、少しだけ神名が記述されている。
最後に伊邪那美命が生んだのが加具土命。火の神を生んだことで陰部に火傷を負ってしまい、これがもとで病になり、ひどく苦しんだ。
そんな伊邪那美命の吐瀉物や屎から神々が生まれた。そして尿から生まれたのが「稚産霊」。その神の子を豊受姫神という。
延暦23年(804年)編纂の、神宮外宮の社伝といえる「止由気神宮儀式帳」によると、、、
雄略天皇22年。天皇の枕元に天照大御神が立ち「自分一人では食事が安らかにできないので、丹波国の等由気大神を近くに呼び寄せるように」と信託した。
そこで同年7月7日に内宮に近い山田の地に、丹波国の比沼真名井原から豊受大御神を迎えて祀った。
では丹波ではどのような位置づけの神なのだろうか。
丹後国の籠神社の社伝によると、、、
豊受大神は、天火明命の天孫降臨の際に御神鏡(依代)に籠り、天火明命とともに丹後に天降った。
天火明命によって丹後の地での最高神として祀られた。
天火明命が持った豊受大神が籠った御神鏡。
瓊瓊杵尊が持っていたのが天照大御神が籠った御神鏡。
そして天火明命と瓊瓊杵尊は兄弟で、いずれも天照大御神の孫。すなわち、天孫。
丹後における豊受大神は、天照大御神と同等の神位を持った神として確固たる地位を得ているのである。
豊受大神が天照大御神の食事を司る御饌津神(みけつかみ)として呼び寄せられたという説話は、天照大御神を奉斎する大和朝廷によって、豊受大神・天火明命を奉斎する海部氏・尾張氏が支配されたことの象徴であろうと思える。
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