十二社熊野神社|西新宿|新宿総鎮守は金運と商売繁昌の神。
熊野神社は新宿区西新宿にある神社。新宿十二社とも称される、新宿の総鎮守である。
東京都庁に面した新宿中央公園の北東角に南向きに鎮座している。
熊野に祀られるすべての神を勧請したので「熊野十二所権現社」「新宿十二社」と称していた。現在は祭神を絞ったものの、そのころの名残で「十二社熊野神社」と名乗っている。
かつてここには、大きな池があり、滝があり、緑豊かな景勝地だったらしく、料亭や花街もあったらしい。
その池は昭和43年に埋め立てられたというから、意外に最近まであったということになる。私が東京生まれだったなら、目にしていた可能性もあるということだ。
十二社熊野神社について
十二社熊野神社 概要
- 所在地 東京都新宿区西新宿2丁目11−2
- 電話番号 03-3343-5521
- アクセス 大江戸線「新宿都庁前」徒歩5分
- 駐車場 あり(境内)
- 主祭神 櫛御気野大神、伊耶那美大神
- 創建年 1400年頃(伝)
- 社格 郷社
- 公式HP https://12so-kumanojinja.jp/
MAP
十二社熊野神社の創建
室町時代に遡ることになるが、
西暦1400年前後のこと。紀州出身の商人「鈴木九郎」によって創建された
と伝わっている。
鈴木家(藤白鈴木家)は、紀州の藤白(海南市)が発祥の地とされ、熊野速玉大社の社家である。全国に勧請された熊野神社とともに全国に拠点を持つようになり、鈴木姓は全国に広がった。
この鈴木九郎も社家「鈴木家」の末裔。中野坂下から西新宿あたりの開拓と、馬の売買で富を成したので、「中野長者」と呼ばれていたらしい。
その大隆盛のきっかけとなったのが、故郷の熊野三山から勧請して祀った「若一王子」。
若一王子を祀ってから、商売がことごとく成功し家運が上昇。そこで、三所権現、五王子、四所明神のすべてを勧請して十二所権現としたとのこと。
十二社熊野神社の祭神
上記の通り、創建当初は若一王子、その後十二所権現に増えたが、明治維新より十二所権現社から熊野神社に社名変更され、祭神も十二所権現から櫛御気野大神と伊耶那美大神(いざなみのおおかみ)の二柱に変更となっている。。
櫛御気野大神(くしみけぬのおおかみ)
櫛御気野大神は、出雲の熊野大社の主祭神の神名である。こちらは紀州熊野からの勧請なので、相当する熊野三山の神としては「家都美御子大神」(けつみみこのおおかみ)となろう。本地仏は「阿弥陀如来」。
そして、櫛御気野大神とは、素戔嗚尊であるとするのが一般的。
素戔嗚尊の荒ぶるイメージとは異なり、「くしみけぬ」の「みけ」あるいは、「けつみみこ」の「けつ」は食物を表すため、食物神として祀られていたのではなかろうかというのが通説となっている。
伊耶那美大神(いざなみのおおかみ)
伊耶那美大神は、もちろん伊邪那美命である。熊野三山においては熊野牟須美大神と称する。本地仏は千手観音。
日本版アダムとイブのイブである。伊邪那岐命を夫とし、日本の国土を生み、森羅万象に宿る多くの神々を生んだ偉大なる女神である。
その最期は壮絶であった。夫との交わりで生んだ最期の神が「加具土命」という火の神。火の神を生んだことで大やけどを負い、それが元で死んでしまうのである。
若一王子
こちらは現在の祭神から外れているのだが、創建時の祭神であったとの伝承がある以上、知っておかねばならないと考える。
若一王子とは「天照大神」で、五所王子の筆頭に位置する。本地仏は十一面観音である。
熊野神社のご利益
食物を司る櫛御気野大神であるからして、食べることに困らない、すなわち金運上昇であり商売繁盛であり家運隆盛であろう。
そして神産みの伊邪那美大神であるからして、子宝と安産。そして熊野牟須美大神とも称されることから、結びの神、縁結びである。
そして、熊野神社のお使いは「八咫烏」。サッカー日本代表のエンブレムにもなっている、三本足のカラスである。
なでしこジャパンのメンバーがWカップ出場に際して、この熊野神社に詣でた。結果は御存じの通り優勝である。
アメリカとの決勝戦は同点。最後のPK戦へもつれ込む。相手キッカーが2人もゴールを外すという、神懸かり的な勝利であった。
八咫烏のお守りを縫い付けていた選手もあったとか。幸運を呼び込むお守りである。
十二社熊野神社 参拝記録
東京都交通局に用事があった。予定の時間よりも1時間早くついたので、いつもの如く近くの神社を探す。
十二社熊野神社を発見。ここから非常に近い。よし行こう。
というわけで、まずは都庁を見ながら新宿中央公園のナイアガラの滝を目指すことにした。
東京都庁
なんとも高いビルだこと。
富士山からの龍脈が高尾山を通じて新宿に流れ込んでいるという。そして、その気を受け止めているのが、この都庁であるという説がある。
ナイアガラの滝
横幅20mはあろうか。大きな滝が作られている。ちょうどこの真下を地下鉄大江戸線が走っているそうな。
公園の木々を通り抜ける風が、さらに滝を通して吹いてくる。マイナスイオンの宝庫だ。
白糸の滝
ナイアガラの滝の裏側は「白糸の滝」。前はナイアガラ、後ろは白糸。せっかくポンプでくみ上げた水。無駄にはしないのである。
ここから真西に向かって歩くと、5分もかからずに神社が見えてくる。
見えてきた。ここから入ると本殿前に出る格好になる。正面に回り込もう。
真っすぐに伸びた幅広の内参道が美しい。背後の高層ビルがシュールである。
十二社(じゅうにそう)の碑
ここには、大小二つ池と大きな人工の滝がある、江戸郊外の有名な景勝地であったことを記した記念碑である。1851年に建てられたという。
この景勝地には多くの料飲店が建ち並び、花街も大いに賑わったという。今の西新宿からは想像もできない。
神楽殿
逆光で白く映ってしまったが、濃淡のはっきりした美しい神楽殿。
拝殿
重厚な趣き。
有栖川宮幟仁親王(ありすがわのみや たかひとしんのう)の書かれた文字を神額としたようだ。「一品」は親王の位階における最上位だ。一番偉い親王ということだ。
三本足のカラスが描かれている。これが八咫烏。熊野本宮大社の神の使いである。
「私についてこられませ~」と、振り向き振り向き飛んでいる姿を表している。誰に対して振り向いているのかというと、ご存知の神武天皇である。
神武天皇が大和国へ入るために、紀伊半島の南東部の海岸から上陸。そこから山へと分け入ったその時、熊が現れ、神武軍はその毒気にあたって全員気絶する。よって、そこを熊野という。
それを救ったのが、布都御魂という剣の霊力。その後、険しい熊野や吉野の山々を越えて大和国にたどり着くことが出来たのは、「八咫烏」が道案内をしたお蔭。
このようなことから、八咫烏には開運・導きのご利益があるとされる。
幣殿
厳かな空気が漂う拝殿内部である。
二拝二拍手一拝。
境内社
十二社弁財天
小さな神橋と「十二社弁財天」。弁財天もしくは市杵嶋姫命が祀られているのだろう。
いずれにしても、水の神であり、財福の神であり、芸能の神である。
大鳥神社
大鳥神社というからには、日本武尊が祭神なのであろう。やはり関東では日本武尊は人気のようだ。
この小さな境内社でも、酉の市が開かれるという。酉の市では縁起熊手が飛ぶように売れる。
熊手は日本武尊が使った武具で、この熊手で福を掻き寄せるという趣向である。商売繁盛や開運招福がご利益となる。
西のえべっさんに対する、東の酉の市といった感じ。
胡桃下稲荷神社
可愛い稲荷社である。狐さんも可愛い感じがした。祭神は宇迦之御魂神。食物を司る神、すなわち商売繁盛の神ということになろう。
日本三大稲荷の一つとされる、茨城県の笠間稲荷神社は、別名「胡桃下稲荷」と言われていたらしい。となれば、笠間稲荷からの勧請ではなかろうかと思うのである。
さあ、いい時間になった。東京都庁を見ながら、東京都交通局に戻ろうではないか。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
ディスカッション
ピンバック & トラックバック一覧
[…] 十二社熊野神社|西新宿|新宿総鎮守は金運と商売繁昌の神。 | 「いにしえの都」日本の神社・パワースポット巡礼熊野神社は新宿区西新宿にある神社。新宿十二社とも称される、新宿 […]