鴨都波神社|奈良葛城|大神神社の別宮とも称される賀茂氏の本拠に鎮座する神。

2017年11月25日

鴨都波神社は奈良県御所市宮前町に鎮座する、延喜式神名帳に掲載される式内社でありその中でも特に霊験あらかたとされる名神大社に列する古社である。かつては大神神社の別宮とも称された、大和国にとって特別な神社である。

この鴨都波神社は下鴨社とも呼ばれ、ここより南の丘陵地帯にある高鴨神社(上鴨社)、その途中にある葛木御歳神社(中鴨社)と合わせて、全国の鴨社・加茂社の総本社でもある。

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鴨都波神社について

鴨都波神社 概要

  • 所在地    奈良県御所市宮前町513
  • 電話番号         0745-62-2176
  • 主祭神    事代主命・下照比売命
  • 創建年           不詳
  • 社格        式内名神大社・県社
  • 公式HP    http://kamotuba.com/

鴨都波神社 アクセス

MAP

最寄り駅

  • JR和歌山線・近鉄御所線 御所駅 徒歩10分

駐車場

  • あり(無料)

鴨都波神社の祭神

積羽八重事代主命

積羽八重事代主命(つわやえことしろぬしのみこと)は、古事記の国譲り神話に登場する事代主命を指すとされる。大国主命と神屋楯比売との子とされるが、先代旧事本紀では大国主命と高津姫命(田心姫命と同一とも)の子とされている。

建御雷命に国譲りを迫られた大国主命に代わって国譲りを承諾する言葉を発した。弟の建御名方命が建御雷命に敗れたあとは、大国主命より全国の国津神を率いて天津神に仕えるよう命じられた。

この神話によって、言葉を司る神・託宣の神という神格を待つ出雲の神といわれるわけだが、

宮司さんによると、

本来の神名は鴨都味波八重事代主神(かもつみわやえことしろぬしのかみ)で、これを分解すると、、、

  • 「鴨都味波」は鴨の水端(みは)、すなわち鴨の水辺
  • 「八重事」は、しばしばの折り目という意味
  • 「代主」は、田の神の古語

従って、「鴨の水辺で季節の節目ごとに祀られる田の神」という神名である

とのこと。本来は大和において葛城鴨族が奉祀する田の神・農耕の神であったいうわけだ。

下照比売命

大国主命と多紀理毘売命(宗像三女神のひとり)の娘とされる。主祭神の事代主命とは異母兄妹の関係になろうが、少しく違和感がある。

本来、下照比売命の兄といえば「阿遅鉏高日子根神」。こちらは鴨族発祥の地に鎮座する高鴨神社の主祭神であり、下照比売命も祭神の一柱である。このカップリングは腑に落ちる。

事代主神とカップリングするのであれば、下照比売命ではなく、先代旧事本紀に登場する同母兄妹の関係である「高照光姫大神命」の方がふさわしと思うのだが。。。

鴨都波神社 創建

鴨族は葛城川の上流部の丘陵地帯にある高鴨神社あたりを発祥とする。

弥生時代中期、農耕文化の発展とともに人口が増加し、極狭の地から川沿いに下流域の広い土地を目指して進出することになる。

まず、葛城川を2kmほど下った東持田に移住した一派は、そこに葛木御歳神社を創建した。

さらにそこから葛城川を直線距離にして4kmほど下った地点、すなわち柳田川が合流する広い平地(現在地)に進出した一派が、鴨族の守護神「事代主神」を水の神・田の神として祀ったのが始まりだろう。

10代崇神天皇の勅命によって、大物主大神の子孫であり大神神社の斎主であった太田田根子の孫「大賀茂都美命」によって、社殿が造営されたとしている。

となると、鴨族は大物主神の末裔ということになる。大神神社の別宮と呼ばれる由縁だ。

鴨都波神社のご利益

  • 五穀豊穣
  • 商売繁盛
  • 決断力
  • 統率力

水辺の田の神であるからして五穀豊穣は外せない。

事代主命は後世に恵比寿神と習合し、商売繁盛の神ともなった。よって、商売繁盛のご利益も頂ける。

出雲の神話から察するに、決断力や統率力などのご利益も期待できよう。

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鴨都波神社 参拝記録

大阪からだと南阪奈道路で二上山を越えて奈良県に入る。そのまま東へ、すなわち橿原方面に走行し、途中から国道24号線に入ってひたすら南下する。

JR御所駅前が右手に見えるともうすぐだ。

済生会病院前という交差点を左折(東行)する。車1台がやっとの幅であるが大丈夫だ。

神域の外縁を回り込むように、境内の東側に出る。そこに駐車場がある。

歴史を感じさせる社標がある。鳥居は無い。実は鳥居はもっと東側にあるのだ。

この水盤。見事な1枚ものの巨石をくりぬいて作られているようだが、表面に浮き出ている紋様が美しく、水盤の中に浮き出た紋様も素晴らしく味があるのである。

これは必見である。

まずは、手口を漱いで簡易的な身禊を行おう。

祓戸社

手水舎の向かい側に祓戸神社がある。神社参道の入口には、やはり祓戸神社がなくては始まらない。

祭神は祓戸大神。すなわち、瀬織津姫命、速開津比売命、気吹戸主命、速佐須良比売命である。

この4柱の神々が分担し合って、人々に知らず知らずのうちに身に付いた罪穢れや災難禍事を取り祓って頂けるのである。

まずは、この祓戸神社で罪穢れを除いてから、本殿の神様の前に立つ。これが流儀である。

本殿前右手に遥拝所がある。

遥拝所

この方向は伊勢ではない。三輪山だろう。

こちらの主祭神である事代主命父神である大国主命和魂である大物主大神が鎮まる三輪山だ。ややこしい。

まずは、お父さんにご挨拶というわけだ。

ご神木

遥拝所の隣に天高くそびえるご神木がある。樹齢350年のイチイガシ。

拝殿

時まさに七五三シーズンである。拝殿の中には千歳飴が入っているであろう袋が並べられている。

二拝二拍手一拝。

ゆったりとした時間が流れる、穏やかな空間だ。

本殿

こちら、主祭神二座の他に配神として、、

  • 建御名方命・・・事代主命の弟で、建御雷命に敗れて諏訪に鎮まった神
  • 大物主櫛瓺玉命・・・大国主命の和魂で三輪山に鎮まる神

となると、三輪山遥拝所は必要ないのでは?

この配神、以前は、、、

  • 大己貴神・・・若き日の大国主命の神名
  • 少彦名神・・・大己貴神とともに国造りを行った異形の神

であったと記憶する。

境内社

天神社、猿田彦神社、火産霊神社

本殿右手に三社が並ぶ。奥から、、、

  • 天神社・・・菅原道真公を祀る。学問の神。
  • 猿田彦神社・・・猿田彦命を祀る。導きの神。交通安全の神。
  • 火産霊神社・・・竈三柱大神・金山彦命を祀る。火の神であり火災除けの神と金の神・金属加工の神。

神農社

少彦名大神を祀る神農社。医薬の神・病気平癒の神・酒の神。

「神農」とは本来、中国古代の伝説上の皇帝「神農帝」を指す。医薬と農業を司る神。日本においては、少彦名命とともに祀られることが多いが、少彦名と習合したというわけではなさそうだ。

稲荷神社

本殿左手の森の中に入ると、宇迦之魂神を祀る稲荷神社がある。

非常に薄暗い湿った場所にあり、雰囲気としては、、、

さて、本殿の向かい側の林にもいくつかの祠がある。

八坂神社

須佐之男命を祀る八坂神社

厄除け・疫病除けとして祀られているので、おそらくは牛頭天王を祀る祠であったのだろう。

笹神社

市杵嶋比売命を祀る笹神社水の神・女性の良縁の神とのこと。

葛城一言主神社

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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